大坂なおみ「全仏棄権」では解決しない根本問題 テニス界は新たな問題に直面することになる
「今回のことは、記者会見だけの問題じゃない」と、ナブラチロワは話す。「これはそれよりもっと根が深い。現時点では私たちがそれを知る余地はないし、この問題がどれだけ深刻なのか大げさに騒ぎ立てるべきでもない」。
そして、このことは他の選手にも新たなプレッシャーをもたらす。「彼女は多くを背負っている」クロアチアの男子スター選手で、ウィンブルドン大会決勝の途中で故障した経験のあるマリン・チリッチはこう話す。
しかし、嫌な質問に対応することは、それが敗れた時であっても、過剰な要求とは言えないだろう。「ノーコメント」や、もう少し礼儀正しい異議申し立てが、正当な選択肢として残されている。
敗戦後の記者会見は一部の選手には耐えがたい
だが、今回の大坂の一件から得た教訓のひとつは、一部の選手は本当に耐え難いと感じていると気づいたことかもしれない(また、モレットン会長が1日夜の短い記者会見で質問を受け付けなかったことは見過ごされなかった)。議論すべきは、そのような選手たちがどれだけ特別な扱いを受けるべきか、ということだ。
グランドスラム大会側が大坂に対し強硬な姿勢を見せた理由の1つは、公平性を保とうとする考えだ。
「なおみはいつも人前で話すのに苦労し、マスコミへの対応にもつねに不安を感じてきた、そしてついにそれが頂点に達したのだと思う」と、ダブルスの元ナンバーワンプレイヤーで、現在はツアーレベルのコーチ、ESPNのアナリストでもあるレネ・スタブスは語る。
「試合後の会見を行わないことで、選手に不当なアドバンテージを与えることは許されない。会見には非常に長い時間がかかるので、ある選手は行わず、ほかの選手は行うといったことになれば、これは平等ではない。だが、この騒動が起こった今こそ、問題のすべてを真剣に、じっくりと考えるときだ」
(執筆:Christopher Clarey記者)
(C)The New York Times News Services
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