大坂なおみに「共感する女性」が口々に語る理由 彼女が訴えているのはBLM問題だけではない
大坂なおみを単なる「テニス選手」としてしか見ていない人は、大坂なおみという人物の全体像を見ていない。彼らは見たいものしか見ていないのだ。大坂の全体像はまだ明らかにされていないが、間違いなく単なる「人気のあるテニスプレーヤー」ではなく、それ以上の存在である。実際、彼女の最大の特徴は「ゲームチェンジャー」であることだ。
言うまでもなく、大坂にこれまで大きな注目が集まっていたのは、彼女の並外れたテニスの腕前があるからにほかならない。彼女は自身のプレーにより、日本に名声と栄光をもたらすと同時に、優れた選手であることを証明してきた。9月には何百万人ものファンの願いを叶えるべく、全米オープンで2度目の優勝を果たしている。
若くて、自信に満ちあふれ、パワフルで、内面も外見も美しい大坂は当然、日本を含め、世界中の若い女性たちにインスピレーションを与える存在となっている。
全米オープンで着用した7枚のマスク
ただし、彼女は単にスポーツに興味のある女性たちにインスピレーションを与えてきたわけではない。メディアの一部は、大坂の政治的な活動にも注目をしている。
特に大坂が全米オープン中、勝利を収めた7試合で身につけていた7枚のマスクには、アメリカの警察官の残虐な行為による黒人犠牲者の名前がつづられており、アメリカにおける構造的人種差別に反対する意思を示すものだった。一部の日本のファンの中には、スポーツ選手が政治的な態度を取ることに不快感を感じて「Black Lives Matter(BLM=黒人の命も大事)運動」のように物議をかもすような問題については、彼女は黙っているべきだ、という意見もあった。
しかし、大坂は黙っていなかった。黙っていられなかったのだ。
彼女は、友人や家族の多くが住んでいるアメリカで現在も黒人虐殺が行われていることに心底懸念を抱いている。不正や不平等、殺人的行為に対し、自身の立場を利用して人々の注意を向けないことは、大坂にとって耐えられないことだったのだろう。
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