「アナ雪」チームが圧倒的な改善力を発揮できた訳 自己保身に走る人を救うリーダーの強い言葉
『アナ雪』の問題を解決した戦略の多くは、「改善」の要素となるものだ。改善は、過去に行った活動を客観的に吟味し、どうすればもっとよくなるかとじっくりと深く考えることで生まれる。
改善は昔から行われてきたが、昔と今では大きく変わった。産業革命時代の構造では、仕事を階級に分けていた。すなわち、思考する青ワーカー=上司と、実行する赤ワーカー=部下に分け、改善の責任は青ワーカーが担っていた。彼らが赤ワーカーを観察し、判断を下すのだ。
この構造では、赤ワーカーは自己評価を求められなかったので、内省による心理的な混乱は生じなかった。その後、TQL(総合的品質管理)という概念とともにE・デミングが現れると、彼は「赤ワーカーに見えているものや彼らの思いを尋ねてみようじゃないか」と提案した。
赤ワーカーの意見を聞くのもいいが、それでもまだ十分ではない。赤ワーカーに意見を尋ねたからといっても、改善について決断を下すのは青ワーカーのままだからだ。
今は、誰もが赤ワークと青ワークの両方を行う必要がある。誰もが赤ワーカーと青ワーカーの両方にならなければならないのだ。それを実現するには、「生産者」という役割から脱し、「改善者」として客観的な目で生産を振り返ることのできる能力が必要となる。
赤ワーカーと青ワーカーを区別せず、誰もが赤ワークと青ワークの両方に適宜取り組む。これが現代の状況であり、これは構造の変化だ。この変化によって、赤ワークと青ワークの区別を前提とした古いリーダーシップや組織構造モデルは見当違いなものとなった。
優秀であろうとする自分と、もっとよくなりたい自分
改善に参加してほしいと呼びかければ、それだけで衝突が生まれる。改善の時間は、次に行うときに変えるべきことについて話し合う場だ。そこには、前回作業をした人がもっと配慮していれば、あるいは彼らの能力がもっと高ければ結果は違っていた、という暗黙の批判がある。
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