リーダーシップに必要なのは理性より楽観主義

心理学と脳科学に見るリーダー像のつくり方

ふつうの人でもリーダーシップを持つにはどうすればよいでしょうか? リーダーの頭の中(脳の仕組み)について解説します(写真:ふじよ/PIXTA)
リーダーシップの不在が、日本が直面する課題である。リーダーはいるのに、リーダーシップがない。もともとリーダーシップの考え方は、アメリカから持ち込まれたもので、わが国の土壌では、自生しにくいものだと思われている。しかし、組織で生きていく私たちにとって、リーダーシップは必要だ。とくに、環境の変化が激しく、先行きが見えないゆえ、変化と風を吹き込む存在が不可欠なのである。
といっても、日本人にとって、リーダーシップの考え方はまだまだしっくりこないのも現実である。ふつうの人でもリーダーシップを持つにはどうすればよいか? こうした問題意識をもとに、このたび『ゼロから考えるリーダーシップ』を上梓した経営組織研究の第一人者である髙橋潔氏に、リーダーの頭の中(脳の仕組み)について解説してもらった。

理性と感性のせめぎ合い

2021年2月、40年以上の長きにわたってスズキを陣頭で指揮されてきた鈴木修氏が、6月で会長職を辞すると表明した。スズキを3兆円規模のグローバルカンパニーに育て上げてもなお、自らを「中小企業のおやじ」と称し、決して初心を忘れることはない。

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欧米企業を渡り歩き、経営戦略と財務への目利きでべらぼうな報酬を受け取る海外の経営者とは違って、ものづくりの現場を重視するわが国の製造業の模範のような経営者である。

「人は五感で何かをつかめる。科学的じゃないという人もいるだろう。しかし、行動を重ねながら五感で体験をしていくと、勘は当たるようになっていく」

コンピュータより勘ピュータ。91歳まで第一線で活躍した実業家の言葉は、孫の世代にあたる20~30代のビジネスパーソンには、妙に聞こえるかもしれない。

ビジネスの世界を見回してみれば、まちがいなく、理性が幅を利かせている。会議やディスカッションの席では、戦略の合理性や投資の効率などが、理性的かつ論理的に議論される。

またMBAプログラム(経営専門職大学院)では、ロジカルシンキング(論理的に考えること)とクリティカルシンキング(批判的に考えること)が重視されている。どちらも理性の働きばかりが強調される。

だから、勘といった非理性的なことが入り込むのを嫌う。それが現代だ。

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