成果を出せない「コマドリ」組織の残念な思考 成功率の低い「トップダウンのゼロベース改革」

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PDの行動特性を仲間に広げる「カササギ」の叡智とは(写真:Rudmer Zwerver/PIXTA)
前回の記事「SDGs時代に『戦略的思考』がオワコン化する理由」で、最悪の現場の中で唯一成果を上げている逸脱者(PD)を探し出し、現場主導で問題解決に取り組むPDアプローチについて解説しました。PDアプローチを実践するうえで難しいことは、「見えるはずなのに見えないもの」を発見して広めることです。今回は、組織改革が失敗に終わる原因や探し出したPDの行動特性を組織で共有するためのヒントについて、『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)』を翻訳・解説した神戸大学大学院の原田勉教授が解説します。

悪名高い密輸商人は、なぜ捕まらなかったのか?

トルコ民話の登場人物、ナスレッディン・ホジャは、ある1つの物語では、悪名高い密輸商人でした。かれは藁を詰め込んだ鞍袋を背負ったロバの隊列とともに定期的に国境を行き来しており、日に日に裕福になっていきました。

『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス): 学習する組織に進化する問題解決アプローチ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

税関吏は、密輸品があると疑い探したのですが、どうしても見つかりませんでした。年月が過ぎ、引退した税関吏がホジャにカフェで偶然出会い、「お互いもう引退しているので、そろそろ何を密輸していたのか教えてもらえないか」と尋ねました。ナスレッディンの答えは、「ロバ」でした。

見えるはずなのに見えないもの。私たちの身の回りにはこのようなもので満ち溢れています。なぜ見えないのかといえば、それは「思い込み」「常識」「暗黙の前提」など、いわゆる「メンタルモデル」と呼ばれるものを私たちがもっているからです。

このメンタルモデルは、日常では効率的な意思決定を可能にする一方、新たな問題に直面した場合、税関吏のように「見えるはずなのに見えないもの」を作り出します。それによって問題の解決が困難になるのです。

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