建設業界の勢力図が10年で一気に変わった背景 住宅企業が続々ゼネコンを傘下に収めた理由
この10年ほどで、建設業界の勢力図が大きく変わっている。そして、その中でハウスメーカーがゼネコンを傘下に収めるという出来事が起こっている。それはなぜ起こったのか、そして傘下に収めるにあたりどのような狙いがあり、その取り組みでどのような成果を上げようとしているのか、本稿で紹介する。
まず、建設業界を売上高(連結ベース)でみると2018年度は以下のようになっている。
ランキングからわかるのは現在、ハウスメーカーが大林組をはじめとする「スーパーゼネコン」をしのぐ、あるいは肩を並べる規模となっていることである。
次に、ここ10年ほどでハウスメーカーがゼネコンを傘下に収めてきた出来事を、主要なものの中から時系列で挙げると以下のようになる。
・2012年 大和ハウス工業がフジタを買収(2015年にフジタと大和小田急建設が統合)
・2015年 積水ハウスが鴻池組(鳳ホールディングス)に資本参加(現在は連結子会社化)
・2016年 旭化成ホームズが森組に資本参加
・2017年 住友林業が熊谷組に資本参加
・2018年 ミサワホームが大末建設に資本参加(現在は持分法適用関連会社化)
大和ハウス工業はM&Aで規模拡大
ランキング1位の大和ハウス工業はこの10年で売上高を約2.5倍(2008年度は1兆6909億円)にしている。これはフジタを含むゼネコン、マンションデベロッパーのコスモスイニシアを含むM&A効果が大きい。
そして、業態そのものも従来の戸建て住宅、賃貸住宅の供給を行う住宅事業主体から、マンションや事業施設、商業施設、海外事業、そして住生活サービス事業など多角化を図り、もはや従来とは異なる意味でのスーパーゼネコンと呼ぶべき存在となっている。
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