神戸市がブチ上げた「タワマン禁止令」の波紋

行き過ぎた都心回帰に「待った」がかかった

街を覆うタワマンにノーを突きつける自治体が現れた。写真は本文とは関係ありません(撮影:梅谷秀司)

神戸市随一の繁華街である三宮(さんのみや)。一帯にはオフィスやマンションが林立し、兵庫県庁や神戸市役所などの行政機関も立ち並ぶ。JR三ノ宮駅を中心に阪急・阪神電鉄、地下鉄駅などを含めると、1日に数十万人が利用する一大ターミナルを形成している。

ところが、そのにぎわいに冷や水を浴びせかねない事態が起きている。

神戸市の誤算

7月1日、神戸市議会で「タワマン禁止令」とも呼べる条例が可決された。

条例が施行される来年7月からは、JR三ノ宮駅周辺ではマンションや老人ホームなどがいっさい建設できなくなる(下の地図の赤囲み部分)。規制はその周辺地域(緑囲みの部分)にも及び、住宅部分の容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が最大でも400%までに制限される。

敷地面積は1000平方メートル以上が対象で、建物の形状にもよるが、おおむね8~10階程度の中規模マンションが限界で、タワーマンション(タワマン)は到底建てられない。

オレンジ色はマンション建設が禁止、緑色は容積率に制限がかかるエリア(コンテンツが見られない場合は東洋経済オンラインのオリジナル記事をご覧ください)

この条例に対しては、「都心回帰の流れに逆行するものだ」とエリア内でマンション開発実績のあるデベロッパーからは困惑の声が上がる。それでも今回、神戸市がこうした強硬策に乗り出した背景には、従来の市の政策における「誤算」があった。

もともと三宮は容積率が緩和されており、現在の容積率は最大で900%にも達する。緩和の狙いは、「企業や店舗の誘致を促すこと」(神戸市)だった。だが市の意向とは裏腹に、近年の都心回帰や職住近接の動きを受け、利便性の高い三宮にタワーマンションが続々と建設されていった。東洋経済が調べたところ、今回の規制対象区域内には20階建て以上のタワーマンションが、建設中を含め少なくとも24棟存在する。

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