建設業界の勢力図が10年で一気に変わった背景

住宅企業が続々ゼネコンを傘下に収めた理由

住友林業緑化はこの分野で多くの実績があり、「イニシアチブを取っている企業」(関係者)。熊谷組による都市開発のノウハウと合わせれば、提携のシナジー効果を発揮しやすく、SDGs経営を行いやすいというわけだ。

両社は提携から現在まで、シナジー効果発現のためのさまざまな検討を行ってきた。その中で、例えば森林開発に災害復旧の際に林道を造る際の無人土木技術が応用できるなど、「シナジーを新たに発現できる分野が見つかった」(川田辰己・住友林業 取締役 常務執行役員)という。

中長期的な相乗効果は?

これについては、今年1月、両社を含む4社は「林業機械システムの自動化による省力化の研究(林業機械システムの月面での運用)」でJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究契約を締結している。

住友林業緑化が施工した緑化の事例「三井住友海上駿河台ビル」の様子(住友林業提供)

このような従来とは異なる経営環境になったことについて、熊谷組の櫻野泰則社長は「当社は世の中の動きに遅れていた側面があった。協業により新たな刺激を受けながら視野を広げて、しっかりと成果を上げていきたい」と話していた。

住友林業の佐藤建副社長も「今は緑化が先行しているかたちだが、ビジネスチャンスは増えている。中長期的に売上高約1500億円、営業利益で約100億円(いずれも両社合算)規模の相乗効果確保に向け邁進したい」と語っていた。

ところで、建設業界の勢力図の変化は、かつての住宅=ハウスメーカー、大規模建築物・インフラ=ゼネコンというすみ分けが崩れてきたことが、大きな要因と考えられる。住友林業が非住宅、都市開発分野に参入しているのがいい事例で、そのほか、ハウスメーカーも似たような背景がある。

東京五輪が開催される来年以降、建設市場の縮小が見込まれ、さらに住宅市場も人口減の中で同じく縮小するとみられるなど、いずれも先行きに懸念がある。その中で今後、さらに勢力図が変化していくだろうと筆者には考えられるため、本稿を作成した。

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