「ホテル」に続々参入するハウスメーカーの思惑

住宅の部資材用いた短期施工性などが強み

「蒼空(そら)ホテル」の屋上共用スペースの様子(パナソニックホームズ提供)

京都や東京、大阪といった著名な観光地のみならず、近年ではその周辺地を含め、従来までは彼らがほとんど訪れることがなかった地域でも、外国人観光客の姿を見かけるようになった。例えば、筆者の故郷である福岡市(ホテル不足が顕著と言われている)がそう。宿泊施設が充実する博多駅や天神駅以外でも、彼らを目にする機会がかつてより確実に増えた。

そんな状況に目を付け、ハウスメーカーが今、ホテル(建設)事業に積極的な取り組みを始めている。そこで、事例をいくつか紹介することで、狙いや背景について迫ってみた。

パナソニックホームズのホテルとは?

東京都墨田区にある「蒼空(そら)ホテル」(5階建て、1LDKを中心とした全7室)は今年3月に竣工した宿泊施設だ。建設したのは、大手ハウスメーカーのパナソニックホームズである。

客室は和のデザインによるおもてなしの雰囲気で、ベランダもついている。東京スカイツリーを間近に望める屋上の共用スペースがあり、何より日本には少ない、ファミリーなど大人数で宿泊できるコンドミニアムタイプ(キッチンを併設)のホテルという特徴を持つ。

「蒼空ホテル」にはキッチンが付いている(筆者撮影)

このホテルが注目される理由はほかにもある。住宅向けの構造体が用いられており、しかも約30坪の土地に、約6カ月の工期で建設されたことだ。通常、同規模のホテルをゼネコンが建設すると約1年はかかる。

現地は東京の下町の路地といった趣である。元々、古い民家を改築した宿泊施設があった場所だというが、周辺の人たちからすると、そこに突如、近代的なホテルが表れたというイメージではなかろうか。また、宿泊者、とくに外国人にとっても、このようなエリアにホテルがあることで、東京の飾らない姿を味わうことができ魅力的に感じるだろう。

次ページなぜ宿泊施設の建設に乗り出したのか
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