「ホテル」に続々参入するハウスメーカーの思惑

住宅の部資材用いた短期施工性などが強み

すべてではないが、このプロジェクトにおいても、積水ハウスが重量鉄骨造の構造体(4階建てまでに対応)により建物が建設されることになっている。

「富岡ホテル」の外観。内部にはレストランなども設置されている(筆者撮影)

ちなみに、積水ハウスでは福島県富岡町に東日本大震災からの復興の拠点として2017年10月にオープンした「富岡ホテル」(4階建て、全69室、ほかにレストランも併設)など、全国で住宅部材を用いたホテル建設で実績を増やしている。

このほか、同社は似たようなスキームによる宿坊事業、さらにはラグジュアリーホテル分野では京都市の「ザ・リッツ・カールトン京都」(2014年オープン)や、「W(ダブリュー)OSAKA」(大阪市中央区、2021年オープン予定)などへの出資なども行っている。

短工期の利点を生かせる

さて、パナソニックホームズや積水ハウスがインバウンド客を主に対象とした宿泊施設建設に乗り出しているのには、インバウンドの存在はもちろん、彼らが有する住まいづくりのノウハウ、中でも短工期であるという利点を生かしたいという思惑があるからだ。

短工期が可能であることに触れておくと、両社はプレハブ(工業化)住宅のハウスメーカー。構造体や外壁材などを中心に部材を工場で、ある規格の中で生産するという特徴を持つ。

この部材を活用すること、住宅建設を担う協力業者をそのままホテルの建設現場に投入でき、それは高い品質を維持しつつ短期間での施工を可能にしている。部材や施工業者を物件ごとに調達するゼネコンなどと比較すると、品質や工期、コストの面で有利になっているわけだ。

例えば、冒頭のパナソニックホームズの事業責任者によると、同様のホテルを建設する場合、「ゼネコンでは受注から竣工まで最低でも1年はかかるが、当社ではそれよりも早く、東京五輪までに竣工を間に合わせることができる」と話している。

余談だが、ハウスメーカーの中にはさらに古くから宿泊事業に乗り出している企業がある。多角化が最も進んでいる大和ハウス工業で、ホテル事業を本格的にスタート(それ以前にもリゾートホテル事業を展開)したのは、1978(昭和53)年のことだ。

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