「ホテル」に続々参入するハウスメーカーの思惑 住宅の部資材用いた短期施工性などが強み
パナソニックホームズは、9階建て(ハウスメーカーでは最高階)にまでに対応でき、15cm単位で土地の形状に対応できる独自の重量鉄骨造技術を有している。
これまで戸建て住宅や賃貸住宅、商業施設などの建設に用いられてきたもので、今回の事例はその特徴がホテルに応用されたものだ。
同社がこのような宿泊施設の建設に乗り出したのは、政府が推し進める観光立国化、訪日外国人数を2020年に4000万人、2030年には6000万人にするという目標、それに伴うインバウンド市場拡大による宿泊施設不足への対応のためである。
とくに東京五輪の約1年後の2021年夏でも都内で約1万4000室の客室が不足すると見られるため、短い期間で竣工することができる住宅建設の技術やノウハウが役立てられると判断したものだ。
賃貸住宅としてリニューアルもできる
パナソニックホームズでは、2018年6月から東京と大阪で宿泊事業のテストマーケティングを実施。2018年度の受注棟数目標を10棟としていたが、それを約9カ月で達成するなど、強い感触を得たという。
このため、今年度から「ビューノステイ」の名称で商品化し、さらに宿泊施設の運営システム(土地・建物のサブリース)を設け、より積極的な受注活動を進めるとしている。
なお、前述した蒼空ホテルは将来的にホテルとしての需要が見込めなくなった場合には、賃貸住宅としてリニューアルし、活用できるような工夫も行われていることも特徴の1つとなっている。
積水ハウスもインバウンド市場を今後の成長分野と考えているハウスメーカーの1つだ。昨年11月に発表した「トリップベース 道の駅プロジェクト」という取り組みをスタートさせている。
世界的なホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルや日本国内の地方自治体と協力し、2020年秋以降をメドにロードサイド型ホテルを5府県、15カ所、約1000室の規模でオープンするというものである。
計画地は観光地としては魅力があるものの、交通や宿泊の利便性が低い地域。そこに、「道の駅」と隣接するかたちで宿泊特化型の宿泊施設を建設し、飲食やお土産購入、地域の伝統文化を通じた触れあいを創出するという、いわば地方再生事業という位置付けとなっている。
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