空き家840万超でも中古流通が進まぬ深刻事情 住宅大手10社が力を入れるスムストックとは
空き家数が拡大し社会問題化する中で、既存住宅(中古住宅、あるいはストック住宅)の流通を促進する必要性が高まり、そのための取り組みも行われている。では、その進捗具合はどのようになっているのだろうか。
本稿では、大手ハウスメーカー10社による既存住宅「スムストック」の事例を中心に、国の取り組みなども紹介しながら、戸建ての既存住宅流通の課題を整理してみた。
空き家が846万戸に拡大
総務省は4月26日、「平成30年(2018年)土地・住宅統計調査」を発表し、空き家数が846万戸、平成25(2013)年比で26万戸(3.2%)の増加だったことを明らかにした。空き家率13.6%は過去最高だった。
人口減少社会にもかかわらず、毎年、多くの新築住宅が供給(2018年は約94万戸)されている状況であるため空き家が増すのは当然。そうした状況を受け、国は住宅政策の重点を新築からストックに転換し、空き家発生を抑制、または活用しやすい状況を作ろうとしている。
抑制策は空き家活用や除却に対する市町村や個人を対象にした補助金、税制面での優遇措置などだ。さらに、活用しやすい状況づくりとして、「安心R住宅」(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)が創設された。
これは耐震性や建物状況調査の実施、リフォームなどの情報提供が行われた物件に、ロゴマークを広告時に使用することを認めるものだ。2017年12月に施行、昨年4月からマークの使用が始まっている。
既存住宅の最大の問題は、耐震性や耐久性などの不安や、あと何年住めるかについてのわかりづらさ、古さや快適性のなさ、住みづらさなどがあり、消費者が購入する際、ギャンブル性が高いことだ。国が上記の制度を設けたのは、それらを払拭し、消費者が住みたい、買いたいと思えるようにするためである。
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