空き家840万超でも中古流通が進まぬ深刻事情 住宅大手10社が力を入れるスムストックとは

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スムストックはそうした国の動きに先立ち、2008年からブランド化し取り組みをスタートしている。基本的な情報を整理すると、優良ストック住宅推進協議会に加盟する以下の大手ハウスメーカーが過去に供給し、そのグループの不動産流通会社が取り扱う既存住宅がそれにあたる。

「スムストック」のロゴ。住宅展示場などでもイベントを行い、認知度アップに努めている(筆者撮影)

【加盟企業】旭化成ホームズ、住友林業、セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダホームズ

スムストックに該当するものとして、協議会は以下の「3原則」「3手法」に基づくものと定義している。

スムストックの3原則、3手法

【3原則】
① 「住宅履歴データ」が整備されている
② 50年以上の「長期点検・補修制度」の運用下にある
③ 一定の「耐震性能(新耐震基準と同等)」を有している
【3手法】
① スムストック住宅販売士(独自制度)が査定から販売までを実施
② スケルトン(=構造体、耐用年数50年)、インフィル(=内装・設備など、同15年)で分けて建物を査定
③ 建物と土地の価格を分離表示

売却価格のシミュレーションでは、新築時の建物価格が2500万円の場合、一般的な査定では20年後に残価はゼロとされるが、上記査定では10%(250万円)程度になるとされている。インフィルの価値はゼロだが、スケルトンに価値が残るとみるためだ。ただ、インフィルは過去にリフォームが行われていれば、その分は評価される。

一生に一度の買い物である住宅の価値が、点検と補修を行い、その情報が残されていれば、仮に築後20年以上の建物でも一定の価値があると評価されるのがスムストックの最大の特徴である。

協議会では、これまで売買が成立した物件の査定額と成約額について調べているが、それらの差異は総平均で1%程度となっており、「ほぼ査定した金額で買い手に受け入れられている」としている。

買い手にとっても安心感のあるものとして一定の評価を得ているわけだ。こうしたことから、あくまで私見だが、今ある既存住宅流通システムでは、最も整備された先進的な仕組みと評価できる。とはいえ、スムストックにもいくつかの課題がある。

「スムストック」成約物件の平均像(画像:優良ストック住宅推進協議会提供の資料から抜粋)
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