SDGs時代に「戦略的思考」がオワコン化する理由

世界41カ国で成果を上げる「PDアプローチ」とは

SDGsの領域で30年以上の実績をもつPDアプローチとは(写真:alphaspirit/iStock)
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、SDGsの目標達成など、ビジネスを取り巻く環境の急変に伴い、ロジカルシンキングなどの戦略的思考アプローチでは解決できない問題が増えています。この変化の流れの中で注目されているのが、最悪の現場の中で唯一成果を上げている逸脱者(PD)を探し出し、現場主導で問題解決に取り組むPDアプローチです。
SDGs時代の問題解決バイブルとして注目されている名著の日本語版『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス): 学習する組織に進化する問題解決アプローチ』を翻訳・解説した神戸大学大学院の原田勉教授が、なぜ戦略的思考が通用せず、PDアプローチが役立つのかについて解き明かします。

ロジカルシンキングでは問題が悪化する

「ピンをさがすがいい」

哲学者アランは、幼い子どもが泣きやまないときのアドバイスとして、このように『幸福論』で書いています。子どもが泣くのはその性格が原因ではなく、たいていの場合、産着にピンがついていて、それが肌に当たって痛いから泣くというのです。

『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス): 学習する組織に進化する問題解決アプローチ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

この「ピン=原因」を見つけ出すことが、いわゆる戦略的思考とかロジカルシンキングと呼ばれるものです。

この場合、ピンは客観的なもので観察可能です。そのようなピンが存在するのであれば、ロジカルシンキングは有効です。しかし、ピンはどこにもなく、子どもが泣きわめくときはどうしたらよいのでしょうか。おそらく客観的状況としては原因となるものがなく、泣く子どもの性格などの内面に原因を求めるしかないかもしれません。

「この問題の原因はあなたの行動にあります」

もしこのように面と向かって指摘されたら、あなたはどう思うでしょうか。

「確かに、自分が悪かった。今後はこのような行動をとらないように気を付けます」と返答できる人は人間的に素晴らしい方です。しかし、現実には、このような人たちばかりではありません。むしろ、その指摘がたとえ正しかったとしても、この歓迎すべからざる指摘に反発し、全力で反論しようとするでしょう。

「自分は悪くない。むしろ、〇〇のほうが問題である」という責任転嫁になるかもしれません。この場合、原因追求することは、問題を解決するどころか、むしろ事態を悪化させることになりかねません。

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