SDGs時代に「戦略的思考」がオワコン化する理由 世界41カ国で成果を上げる「PDアプローチ」とは
ロジカルシンキングでは問題が悪化する
「ピンをさがすがいい」
哲学者アランは、幼い子どもが泣きやまないときのアドバイスとして、このように『幸福論』で書いています。子どもが泣くのはその性格が原因ではなく、たいていの場合、産着にピンがついていて、それが肌に当たって痛いから泣くというのです。
この「ピン=原因」を見つけ出すことが、いわゆる戦略的思考とかロジカルシンキングと呼ばれるものです。
この場合、ピンは客観的なもので観察可能です。そのようなピンが存在するのであれば、ロジカルシンキングは有効です。しかし、ピンはどこにもなく、子どもが泣きわめくときはどうしたらよいのでしょうか。おそらく客観的状況としては原因となるものがなく、泣く子どもの性格などの内面に原因を求めるしかないかもしれません。
「この問題の原因はあなたの行動にあります」
もしこのように面と向かって指摘されたら、あなたはどう思うでしょうか。
「確かに、自分が悪かった。今後はこのような行動をとらないように気を付けます」と返答できる人は人間的に素晴らしい方です。しかし、現実には、このような人たちばかりではありません。むしろ、その指摘がたとえ正しかったとしても、この歓迎すべからざる指摘に反発し、全力で反論しようとするでしょう。
「自分は悪くない。むしろ、〇〇のほうが問題である」という責任転嫁になるかもしれません。この場合、原因追求することは、問題を解決するどころか、むしろ事態を悪化させることになりかねません。
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