SOMPO「働き方改革三種の神器」を極める戦略 男性育休・ジョブ型・テレワークの先陣を切る

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小室:53%は、素晴らしいです。日本の男性育休取得率はたった7%なのですから、群を抜いています。こうした男性育休だけにとどまらず、あらゆる働き方を変革する挑戦において、最先端を走ってこられたと思うのですが、櫻田さんは働き方については迷いなくずっと先進的なお考えだったのですか?

櫻田:率直に申し上げていいんですよね? 実は会社に来るのはあまり好きじゃなかったんです(笑)。朝起きて、電車に乗って会社行く、というのはあまり好きではなくて。かつ残業も好きではなく。ところが実態は、台風でも雪でも、土日も含めて出勤で、かつ残業も夜10時に終わればいいやという世界でしたよ、私が入った40年前は。

小室淑恵(こむろ よしえ)/株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長。1000社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げる「働き方見直しコンサルティング」の手法に定評がある。私生活では2児の母(撮影:梅谷秀司)

小室:やはりそうですよね、当時は。

櫻田:しかも夜10時に終わってから食事、場合によっては一杯。家に着くのが12時、風呂に入ったら午前1時。それをずっと繰り返すわけですよ。何かもっといい方法がないかなとずっと思っていました。仕事の目的を達成するための具体的な行動とは、ということをつねに突き詰めて考えていました。

保険の引受部門にいた時、複雑な計算をして保険料を出すという業務がありました。当時は計算式を含めてしっかり覚えることが修行であり、修行を乗り越えて一人前と認められたのですが、そのような修行は無駄だと思ったので、プログラミングできる電卓を当時3万円しましたが、自分で買いまして。

小室:なるほど! 効率化の投資を自分でしたんですね。

櫻田:自分で簡単なプログラムを組んで、ポンってやったら計算が出てくる。先輩たちが「お前何やっているんだ」「それずるいじゃないか。」って言いましたけれど(笑)。

人間にしかできないことだけに集中を

小室:それこそがイノベーションですよね。

櫻田:いや、怠け者なの。夜9時10時まで嫌だなと思った。複雑な規定や算式を覚えることというのは、必ずしも知的な作業ではないと。その思いがずっと続いて役員になり、CIOを拝命した時は「機械にできることを全部DXして、人間にしかできないことだけに集中を」と打ち出しました。ぶっちゃけた話、怠け者だからなんですよ。

小室:いえいえ、若いころ疑問を持っていたのに、権力を持つと同じことをやる方も多いですから(笑)。それに、いかに役員でも「文化」みたいなものがそうそう変えきれないものだと思いますが。

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