SOMPO「働き方改革三種の神器」を極める戦略 男性育休・ジョブ型・テレワークの先陣を切る

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今まで時間に制約を持ってこなかった働き方をしている人ほど、仕事をブラックボックス状態でやるのが大好きです。育児女性であれば、自分が仕掛かり中の仕事をブラックボックスにしたら、保育園のお迎えコールが来た時にリスクなので、いつも見える化をして、仕事の途中経過も共有ファイルに置いて仕事をします。時間制約がない人は「今日やり残した俺の仕事は明日の俺がやる」という考え方なので自分のそで机に「秘伝のたれ」みたいな資料をいつも置いていて。

櫻田:(笑)面白いね、それ。

小室:継ぎ足し、継ぎ足し使っていて。たまにちらっと見せてくれるけれど、やっぱり同じチーム内の他者と自分の差をつけることが、自分の評価につながるという感覚を持っているので、チームの中で情報を見える化すれば、自分の評価が落ちると考えて、情報を共有しません。こうして結局仕事が属人化したチームでは、「うちのチームは仕事が回ってないから、人をくれ」というんです。

ただ「人くれ、人くれ」というそのチームに、いざ人をあげても生産性が上がりません。なぜなら情報が属人化している職場では、新しく配属された人に肝心な情報が共有されず、やれる仕事は雑用ばかりになってしまうのです。

そで机の秘伝のたれをクラウドにアップしてくれないと、チームメンバー同士が離れた場所からテレワークで連携して成果を出すことができないのです。

ジョブ型雇用は経営者も覚悟が問われる

櫻田:働き方改革を推進する前提に「任務配分」があると思っています。リーダーが、自分の背負っているミッションが何か、それをいつまでにやらなきゃというのを、自分と一緒にやる部下たちに配分しておくわけです。それを任務配分といいます。Aさん、Bさん、Cさん、それぞれのミッションは何なのかということが、お互いにわかっている状態が必要です。

処遇と働く条件によって、ミッションも大小違う。この任務配分をきちんと行うことで、リモートワークが本当にできるようになれば、女性のキャリアハンデもなくなると思うんですよ。時間が短くても、配分されたミッションをきっちりこなしていれば給料も下がらないままです。会社としても、採用や研修にかけたリソースは無駄にならない。

小室:感動しました。多くの経営者が「時間と成果は関係ない。だから残業時間はカウントせずに、成果だけで見ればいいのに」というブラックな方向性にいくのに、櫻田さんは「時間と成果は関係ない。だから時間が短くてもオフィスに出社できなくても、成果が出ていたら評価しよう」というホワイトな方向で考えているのですね。

御社で4月から部長に適応していらっしゃる「ジョブ型」についても、まさに任務配分が重要ですよね。テレワークやジョブ型に伴って、これからのマネジメントはどう変わるのですか?

櫻田:毎日顔を合わせる中で、リアルに気がついたこと、感じたことをコミュニケートして予定調和的に物事が達成されていくというマネジメント手法はもう通用しません。それぞれの役割も、その結果として支払われる給料もはっきりさせる、そのかわり責任もはっきり伝えていくことが必要になります。

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