SOMPO「働き方改革三種の神器」を極める戦略 男性育休・ジョブ型・テレワークの先陣を切る

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小室:櫻田さんにぜひご意見うかがいたいなと思うのは霞が関・永田町の働き方についてです。民間企業に7割テレワークと言いながらも、国会では毎日ワサワサと密になって対面で議論していて、デジタル化がまったく進んでいない。コロナ禍においては、国民への給付金配布の遅さで日本の政策のアナログさが際立ち、近隣アジア諸国のデジタル対応と比較すると、大きな後れをとっていたことを国民も痛感しました。

そして国家公務員の長時間労働は、なんと昨年8月に私たちが調査した結果では4割が100時間を超える残業をしていました。その結果、離職率は6年前の4倍、2021年度の国家公務員採用試験では総合職申込者が14.5%減少と、過去最大の減少幅になりました。当然、その結果として政策の質が低下し、大きく国益を損ないます。

また、1000社に企業の働き方改革を支援してきて、痛感するのは、長時間労働が変革できない企業ほど、政府と取引があります。大量の紙資料とハンコ、難解な日本語の仕様書、そして短納期と対面の打ち合わせという行政の仕事の仕方が、民間の生産性を非常に落としていますし、その仕事を受けて下請け会社にさらなる短納期の仕事が発注されることから、日本全国の残業の震源地になっています。こういった現状に私は強い危機感を持っているのですが、どうしていったらよいでしょうか?

高校生や大学生が主体となって声を上げられる仕組みを

櫻田:主体である国民が怒るということが大事ですね。こんなことやっていたら大変だというふうに声を上げていく。その「声を上げさせる仕組み」についてずっと考えてきました。せっかく同友会の代表幹事を拝命しているのであれば、今まではシンクタンクだったのですが、考えるだけでなく実行する、Do Tankになるべきだと、2年前に就任した時に宣言しました。

2年かかって昨年9月に、未来選択会議を立ち上げました。高校生、大学生、メディア、学者、コンサル、官僚が、経済人も含めて140名以上集まって未来につながる民主主義をどうやって作るか話し合いました。なんでGreta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)が日本に居ないんだと。ここなんです。国をあげてそうした動きを作っていかないといけない。そうしたムーブメントがあったら、国を動かすわけです。先日開催した会議では3時間があっという間に過ぎ、面白かったです。高校生と大学生の意見が立派でした。

「どうしたらよいですか」への答えは国民です。結局国民が選んだ制度だし、政治家です。それに対しておかしいじゃないかって声を上げる。日本が変わる必要があるのはここではないかと考えています。

小室:だから高校生や大学生が国民の1人として声をあげられるような仕組みを作っていっているわけですね。彼らがグレタさんのようにしっかり戦えるだけの後ろ支えをしていかれているということに感動しました。私もグレタさんほどではないですが、これまで数々のタブーに踏み込んで、政府にも企業にも働き方改革を提言してきましたが、今後も弱気になることなく声を上げていきます。今日は櫻田さんのお話がとにかく面白くてあっという間のお時間でした。貴重なお話をありがとうございました。

(撮影:梅谷秀司)
小室 淑恵 ワーク・ライフバランス代表取締役社長

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こむろ よしえ / Yoshie Komuro

1000社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げる「働き方改革コンサルティング」の手法に定評がある。安倍内閣産業競争力会議民間議員、経済産業省産業構造審議会、文部科学省中央教育審議会などの委員を歴任。「朝メール.com」「WLB組織診断」等のWEBサービスを開発し、1000社以上に導入。「WLBコンサルタント養成講座」を主宰し、1100名の卒業生が全国で活躍中。 私生活では二児の母。『プレイングマネージャー「残業ゼロ」の仕事術』『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』等著書多数。最新刊は『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』(PHP新書、2020年9月17日発売)。

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