ダイバーシティ推進は経営陣の仕事と心得よ
小室 淑恵(以下、小室):2013年にサラ・カサノバさんがCEOに就任され、5年後にズナイデン房子さんがマーケティング責任者に抜擢されました。御社は意思を持ってダイバーシティに取り組んでおられる印象です。
日色 保(以下、日色):さまざまなバックグラウンドを持つメンバーでチームを編成することで強い組織になると私は考えています。野球でピッチャーを9人集めても勝てないのと同じで、足が速い人、肩が強い人、バッティングに長ける人など、強みが異なる人と組むことでチーム力は強化されます。
小室:まさにそうですよね。しかしなぜか、日本の一部の経営者は、日色さんがおっしゃる「多様性」の枠内に女性を入れて考えてないことが多いですよね。女性が第一線で活躍する姿を想像できていないようなのです。日色さんなら彼らをどう説得しますか。
日色:世の中には男女が半分ずついて、同じ割合で優秀な人がいる中で、女性に目を向けない限り、優秀な人とチームを組むチャンスを5割失う。当然、組織力は低下する、と説得するでしょうね。
小室:言われてみれば、全くその通りですね。可能性を5割失う経営判断をし続けているのはあり得ないということですね。ところで御社がダイバーシティ推進に本腰を入れることとなったきっかけは何だったのでしょうか。
日色:私が事業会社の社長に就任した2019年に、役員に釘を刺す場面があったんです。「いくら業績が良くても、ダイバーシティを推進して強いチームを作らなければ、リーダーとして評価できませんよ」と。
小室:いったい、何があったのですか。
日色:社長就任後、初の経営会議に参加した際、ダイバーシティチームが進捗状況をプレゼンする場が設けられました。そこでチームメンバーに対して「どうしてダイバーシティが進捗していないんだ」「この数字は何でこうなる」と評論家の立場で発言する役員たちの姿に違和感を覚えまして。ダイバーシティを推進するのは役員の仕事でもあるのに、なぜ他人ごとなんだろうと。
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