そんな状況で、増殖しているのが「企業内コミュニケーション難民」です。教科書も教師も教材もない中で、勘と慣習にもとづく「“カン”ミュニケーション」が、機能するわけがありません。
私も、日本企業に20年弱務めてきましたが、基本は「現場で学べ」とばかり、体系だって研修や教育はあまりありませんし、いくつか受けた研修もレベルが高いとは言えず、「時間泥棒」の結果で終わりました。
どんな場面でも万能な「フィードバック」システム
「コミュニケーションの科学」を推進する欧米企業で重視されているのが、「フィードバック」というシステムです。
フィードバックとは、「行動に対して改善すべき点や評価を伝え、行動変容を促すこと」。社員は「コンストラクティブ(建設的な)フィードバック」の方法などを徹底的に学びます。
「怒る」はもってのほか。「叱る」ことさえも、高圧的で、感情が入りこみやすいために、あまり推奨されていません。代わりに、「事実関係」に焦点を当て、過度に感情的にならない「フィードバック」が多用されるのです。
「褒める」のは「ポジティブフィードバック」、「叱る」のは「ネガティブフィードバック」ということになり、どんな場面でも万能に使えます。その方法はいくつもありますが、私が最もわかりやすいと感じたのが、「SBIメソッド」というものです。
【B】Behavior(行動)
【I】Impact(影響・結果)
これが基本型ですが、この前に「A=Ask for Permission(許しを請う)」を入れて、「ASBI」というパターンもあります。「ASBIメソッド」は、たとえば次のような具合です。
【S】(場面)=「先日、〇〇会社さんに営業に行ったとき、先方の××さんと話をしたよね」
【B】(行動)=「あのとき、相手の話をまったく聞かず、一方的にこちらの伝えたいことだけを言って終わってしまったね」
【I】(影響・結果)=「××さんの印象がよくなかったみたいで、契約は難しいと言ってきたんだ」
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