2020年にがんで逝った男がブログに遺した生き様 オンラインゲームに生きた「光のお父さん」作者

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『光のお父さん』などで知られる人気ブログ「一撃確殺SS日記」(筆者撮影)
故人が残したブログやSNSページ。生前に残された最後の投稿に遺族や知人、ファンが“墓参り”して何年も追悼する。なかには数万件のコメントが書き込まれている例もある。ただ、残された側からすると、故人のサイトは戸惑いの対象になることもある。
故人のサイトとどう向き合うのが正解なのか? 簡単には答えが出せない問題だが、先人の事例から何かをつかむことはできるだろう。具体的な事例を紹介しながら追っていく連載の第10回。
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『光のお父さん』を生んだ有名ブログ

<病室の扉を開けると、弱りきった父がベッドで寝ていた。
子供の頃に見ていた父はもうそこにはいない。
父は、もう老いている・・・。
(略)
『僕はこの人が死んだ時、泣くのだろうか?』
僕と父の間に、泣くほどの思い出があるのだろうか?
この人は僕のたった一人の父なのに・・・どうしてこうも他人として考えているのだろう・・・そんな自分がとても情けなくて、冷たい生き物に思えた。>
(書籍『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』冒頭より)

「一撃確殺SS日記」(http://sumimarudan.blog7.fc2.com/)というブログがある。2009年7月のスタートから10年以上も、オンラインゲームのスクリーンショット(SS)やプラモデル、フィギュアの写真などを毎日欠かさずにアップしてきたオンラインゲームの有名サイトだ。

メディアミックス作品『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(以下、光のお父さん)の元ブログとして記憶している人も多いかもしれない。

書籍版『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(講談社)

仲違いしているわけではないけれど会話のない父子。父がプレーステーション4を手に入れたのを機に、オンラインゲームのヘビープレーヤーである息子はある計画を思いつく。父にオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』をプレゼントし、その世界のなかで正体を隠して友達になってみよう。そうしたら、今までの関係をリセットして親子の関係を再構築できるんじゃないか?――

2014年8月から2015年6月にかけて実際に行われた父子と仲間たちとの交流は延べ31回の記事としてまとめられて、大きな反響を呼んだ。そこからテレビドラマの企画が持ちかけられ、2016年にドラマ原作となる書籍を書き下ろし、翌年春にTBS系列で放送が実現。2019年には劇場版が作られて全国の映画館で放映された。

その原作者であり、ブログの管理人である「マイディーさん」が記事を更新することはもうない。2020年12月にがんで亡くなったためだ。

次ページ苦しい闘病の中でブログの更新を続けた
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