2020年にがんで逝った男がブログに遺した生き様 オンラインゲームに生きた「光のお父さん」作者

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異変が訪れたのは2018年11月。1年ほど前に退職してフリーランスとなり、8月末に東京に引っ越してきたばかりの頃だ。深夜に異常な腹痛に見舞われて緊急入院すると、翌朝に医師から大腸がんと告げられた。

<がん・・・・。特に驚きは無かった。
我が家の家系は癌の家系で親族が亡くなるときは必ず癌。父も胃癌を患ったし、遅かれ早かれ僕もいつかは癌になる。
そう思って生きてきた。 なので、ああ、ついにこの時が来たか・・・と思っただけだった。>
(2018年12月16日「-生きる力-」/一撃確殺SS日記より)
入院した当日に病室でアップした投稿(2018年11月18日の日記より)

記事の冒頭で引用したシーンで父が病室のベッドに横たわっていたのは、胃がんの手術のためだった。家系の歴史が否応なく脳裏に死のイメージを浮かばせる。そして「僕はこの人が死んだ時、泣くのだろうか?」と思わせた。父の手術は成功したが、今度は自分ががんの手術を控えて病室のベッドに横たわっている。駆けつけた父からはこんな言葉をもらった。

<癌を宣告されたとき、人は2種類の反応をするらしい。
人生に何も無い人は、癌を宣告されると自暴自棄になってしまう。
でも人生に目標や目的がある人は、それが「生きる力」になって癌と戦おうと立ち上がる。
もしお前が、癌と戦おうと思ったのであれば、それはお前に「生きる力」があるという事や。>(同)

がんの切除手術は成功

やりたいことは沢山ある。それを与えてくれたのはオンラインゲームだ。マイディーさんは、「オンラインゲームをもっともっと世間に広めたいという夢がある限り、まだまだこんなところで死ぬわけにはいかない」と決意を固めてがんの切除手術に挑んだ。

手術は成功。転移も見つからなかった。

退院後の経過も順調で、年明けに抗がん剤治療についての詳細な日記を残して以来、病状を詳細に解説することは少なくなっていった。術後1年の日記でも病状に関する言及はなく、オンラインゲームやプラモデル等を楽しく紹介する従来のトーンに完全に戻った感がある。この間、2019年6月に劇場版『光のお父さん』の封切りがあり、2019年7月12日にはブログの毎日更新10年を達成している。まさしく、オンラインゲームの世界が生きる力になっている様子だった。

次ページ再び不安な兆候が…
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