2020年にがんで逝った男がブログに遺した生き様 オンラインゲームに生きた「光のお父さん」作者

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FF14のマイディーさんは、猫耳と尻尾がついた人型種族の女性キャラだ。オンラインゲームを始めた当初は自身と同性のアバター「ちんた」をメインに使っていたが、複数のゲームでアバターを作っていくうち、サブで作った女性キャラ「マイディー(マイド・オ・キーニ)」が気に入り、そちらがメインに移っていったという。

世界観も見た目も性別も、自在に変えられるのがオンラインゲームの魅力のひとつ。ただ、“自分ではない誰か”になりたいわけではなかった。ゲームで結成しているチーム「FC:じょびネッツア」も職場の仲間との集まりから始まったし、ブログでも前述のとおり具体的な個人情報は伏せながら、しばしば転勤や独身暮らしの趣味など日常生活を綴っている。

ゲームの中でも心の通った交流はできる

姿形は異なれど、操作している人格が同じなのだからオフラインとオンラインは地続きだ。職場や家庭と同じように、ゲームのなかでも心の通った交流は当然できる。実際、新年はいつもオンラインで集まっていたし、メンバーの誕生日もオンラインで祝うのが恒例になっていた。

そうした考えと経験が「光のお父さん」計画につながったのは想像に難くない。父が還暦を迎えてなお3Dアクションゲームをやりこむゲーマーということは知っていた。ならばFF14にも興味を持つはず。一度世界に引き込んでしまえば、後はメンバーの協力の下で楽しく盛り上がれるはずだ。

その狙いが的中したことは、「光のお父さん」シリーズのいずれかに触れればわかる。マイディーさんはこう綴る。

<とにかく今の世の中、「ゲームは悪者」みたいになっています。
ゲームばっかりやってると、ゲーム脳になって簡単に人を殺すみたいな報道をよく目にします。
それ見るたびにやっぱり悔しいし・・・。
(中略)
「オンラインゲームというのは悪い事ばかりじゃないんだよ。
考え方や受け取り方、活かし方で 人生においてこんなに素晴らしい物になるんだよ。」
僕は「光のお父さん」を通してそれを言いたかったんだと思います。
すれ違ってきた親子が、分かり合えて人生が変わったという「事実」をきっちりエビデンスを取ってやりきり、証明できた。
光のお父さん計画は、自分を育ててくれた「親」と「ゲーム」に対しての親孝行だったと感じています。>
(2016年4月1日「光のお父さん -あとがき-」/一撃確殺SS日記より)
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