新聞社を退社した私がたどり着いた「貧乏長屋」 広い家では磨かれない「コミュ力・知恵・工夫」

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我が家の江戸グッズといえばこの「おひつ」。今や使い込みすぎて立派な黒ずみに覆われ、博物館の展示物レベルに……(写真:筆者提供)
疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第8回をお届けします。

お姫様が何かの陰謀に巻き込まれ、極貧生活に?

会社を辞めてすべてを失う……考えてみたら、これはこれでどこぞの物語に出てきそうなドラマティックな展開ではある。ほら、よくあるじゃないですか。蝶よ花よと贅沢な暮らしに浸っていたお姫様が、何かの陰謀に巻き込まれて突然、華やかな宮廷生活から極寒の牢獄生活へ、みたいな……。

そうだよ。私の当時の状況を一言で言えばこうなる。

稲垣えみ子氏による連載8回目です。

アントワネット、バスティーユへ!

……ま、もちろん私、お姫様ではなく単なる一会社員。でも自分的には、大会社に勤め過分なお給料をいただき、しかも独身貴族ゆえ買いたいものを買い食べたいものを食べられるご身分。まさしく姫にでもなった気分で暮らしていたのだ。それが退社で一気に消滅。

その意味ではまさしくアイアムアントワネットである。そう思うとフト無意味に気持ちが盛り上がったりもしたが、慌てて首をブンブン振り正気に返る。

何しろ、我がバスティーユ生活は死ぬまでフツーに続くのだ。

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