(第14回)巨額の対外資産の極まりなく愚かな運用

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(第14回)巨額の対外資産の極まりなく愚かな運用

前回、経済危機後の円高によって、日本の対外純資産に100兆円程度の評価損が発生したと述べた。これに対して、「評価損だけを見るべきでなく、これまでの収益をも見るべきだ」との意見があるだろう。そのとおりである。

対外資産が生んだ収益と対外負債のための利子支払いなどは、国際収支表で「所得収支」として記録されている。受取額は、2008年には22兆円であった。08年末の対外資産残高519兆円に対する比率を取って、単純にそれを「収益率」と考えれば、4・2%となる。この数字だけを見れば、「まあまあの成績」と言えなくもない。過去の年について同じように収益率を計算してみると、下表のB/Aに示すようになる。08年以外ではこれより低い値になるが、それでも日本国内で定期預金をするよりはましだった。

ところで、前回述べたように、08年1年間の円ドルレートの変化幅は19円であり、08年だけで対外資産の評価損が103兆円であった。そして07年夏のレート123円程度と現在のレート93円は30円程度の差がある。したがって、比例計算で求めれば、評価損は163兆円ということになる。一方、所得収支での受取額を累積すると、01年から09年の9年間で約144兆円となる。つまり、「金利差を稼ぎはしたが、評価損ですべて吹き飛んでしまった」ということなのだ。

こうなるのは、偶然ではない。「金利平価」と呼ばれる法則からの必然の結果である。これは簡単に言えば、「外国との金利差で発生する利益は、その後の為替差損で相殺される」ということだ。つまり外国為替相場が適切に機能しているなら、金利差に等しい率で為替レートが変動する。たとえばアメリカの金利が日本より年利で3%ポイント高ければ、年率3%で円高が進むのである。

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