一方、日本はどうでしょうか。私は長く日本に住んでいますが、今でも驚くことがあります。例えば、一部の男性政治家の女性に対する(または女性に関する)話し方は、時として衝撃的です。少し前に日本でも大きな話題となった森喜朗氏による発言は受け入れられませんでした。
7月に東京オリンピックを開催予定の日本は、今や全世界の注目の的だというのに、#MeTooの時代に、性差別的な、男性優位の女性蔑視発言は許されるものではありません。残念ながら、森氏以前にも、日本の政治家やビジネスマンは女性や社会における女性の役割に対して数多くの不適切な発言をしてきました。
女性が置かれている労働環境も十分とは言えないと思います。出産後の女性が職場を去らざるをえない状況は少しずつ改善されていると言われますが、それでも女性にかかる家事・育児の負担は小さくありません。
女性がキャリアを積みにくい状況が長らく続いた結果、日本の企業や政府に女性幹部が少ないことは言わずもがなでしょう。上場企業における女性役員の数は2012年から8年で約4倍に増えましたが、その比率は6.2%と他国と比べると低水準です。
男女共同参画局によると、OECD24カ国(1人当たりGDP1万ドル以上)を対象とした調査では、1970年時点では、女性の労働力率の高い国ほど出生率が低いという傾向にあったのに対し、2000年時点では、女性の労働力率が高い国ほど出生率が高くなったことがわかりました。誰もが働きやすい環境を整備することは、女性の労働参加だけでなく、出生率の向上にもつながるということです。
フランスに起きている変化
男女平等においては日本の先を行くと言えるフランスでも、近年さらなる変革が進んでいます。
「ほかの分野でも同じですが、スポーツは男性だけのものになっています。私たちは、最前線に立って話を伝え、コメントし、分析し、導きたいと思っています。私たちは女性がもっと保護され、評価されながら、スポーツメディアによりよい形で出て欲しいと思っています。もし各編集部にもっと女性のスポーツジャーナリストがいれば、スポーツ界における女性差別もなくなることでしょう」
これは、フランスで3月放送されたあるドキュメンタリーでのある女性スポーツジャーナリストによるコメントです。このドキュメンタリーでは、スポーツ界における女性を悩ませる差別、特に男性の同僚からのセクハラや性差別発言を扱っていました。
ある男性は、こうしたスポーツのような従来男性が多かった職場におけるセクハラを排除するには時間を要すると指摘しています。別の男性たちも「昔はセクハラや失礼と思われずに、女性と接近することができた」「そういう態度をとった時に、女性がショックを示すことはなく、これが男女における戯れの一種だと思っていた」と口を揃えます。
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