こうした中、サッカー解説者のピエール・メネスが「#MeToo以降、何も言えないし、何もできなくなった」とコメントしたことに対して、別の女性ジャーナリストから非難の声が上がったりもしています。
ちなみに、フランスはアメリカのように早い段階から職場での女性に対する言動に対して厳しい見方や取り締まりをする風潮はありませんでした。フランスでは多くの面において男女平等が進んでいた一方で、男女間における「誘惑」がフランスにおいては非常に文化的にも重要な一面があったからだと思います。
ただ、それも近年少しずつ変わりつつあるのでしょう。1970年代のウーマンリブが教育や仕事などにおける機会均等や平等を求めるなど、男性と女性が「同じ」であることを求める動きだったのに対して、最近のトレンドは男性と女性の違いをしっかりと認識した上で、女性がそれぞれを男性や社会目線ではなく表現できることを求めている、と感じます。
フランスでは15歳から性的同意が必要に
最近では女性ジャーナリストやライターが過去に受けたセクハラや性暴力をインタビューや自身の著書などで告白し、著名男性が役職の辞任などに追い込まれるケースが出てきています(それがかなり過去のものであったとしても、です)。
#MeToo運動によって、それまで沈黙を守っていた女性たちが言葉によって、スピーチによって自分のトラウマを話すことを躊躇(ためら)わなくなったのです。司法システムもこれに呼応するかのように、特にレイプに対しての罪がより問われるようになっています(それが著名人男性であっても)。
最近もっとも話題になっているのは、「性的合意」です。当たり前ですが、女性がスキンシップや性行為に対して「ノー」という時は、本当に「ノー」であり、「イエス」を隠しているわけではありません。女性の中には驚いた時にリアクションできずに「固まってしまう」人がいますが、彼女が黙っていることはけっして「イエス」という意味ではないのです。
フランスでは4月15日に、性的同意の年齢を15歳とする法律が成立しました。欧州連合(EU)の中でもっとも低い13歳にする案もありましたが、15歳で落ち着きました。これは、もともと性に寛容であるフランスでは非常に画期的なこととされています。
もちろん、フランスでは誘惑やお世辞が日常生活の一部であるため、この問題は男性にとって難しいものですし、男性が「面倒臭い」と感じる場面があるかもしれません。しかし、新しい時代が始まろうとしている中、男性は新しい形のコミュニケーションをも模索しなければならないのです。キスはもういりません!
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