実録!公立中学の不透明な「内申」と高校受験 「中学受験」がコロナ禍でも増えている納得理由
中学受験を扱ったコミック作品『二月の勝者-絶対合格の教室-』(小学館)が累計100万部を突破した。世の中の中学受験の注目度は高い。
小学生向け進学塾・日能研のまとめによれば、2021年首都圏の中学受験率は20.8%と前年よりも0.6ポイント上昇。最大の激戦区は東京都で、その受験率は、大台の30%を10年ぶりに突破。コロナ禍での経済状況の悪化などにより、受験生は減るものだと考えられていたのに増加したのだ。
そもそも、中学校は義務教育だ。受験などしなくても、地元の公立中学校に通える。授業料は税金で賄われており無料だ。私立中学に進学すれば年間100万円近い授業料がかかる。しかも入学までには、小学校2~3年から塾通いをしなければならず、合格までに300万円以上の塾代が費やされる。
「下の子は私立に入れたい」と望む親
前出の作品『二月の勝者』の第一巻には、主人公のカリスマ塾講師・黒木蔵人が小学生たちに「君達が合格できたのは、父親の『経済力』 そして、母親の『狂気』」と語るシーンがある。まさにこれは中学受験の本質を突いたひとことだ。
なぜ、そこまで中学受験をさせたいのか。その“解”を知りたく、最も受験が過熱している東京23区在住の10人の保護者に話を聞いた。
すると「自分と同じ学校に入れたい」「私立は教育の質が高い」など想像通りの答えが返ってきたが、「上の子が公立中学校で嫌な思いをしたから、下の子にはさせたくなかった」と答えた人が半数の5人いた。
なぜ、公立中学校で嫌な思いをするのか……いじめや部活の問題かと思ったらそうではないという。
それは「高校進学に関わる中3の2学期の5段階評価で苦労させられること」だった。
高校入試のときに、高校(公立、私立とも)が選考の参考にするのは、中学校の内申点だ。“5段階評価”というのは、英数国理社の5教科に加え、技術家庭・美術・音楽・保健体育の実技4教科を5段階の数字で表される。これが内申点と呼ぶもので、オール3なら内申点は27点、オール5なら45点となるのだ。
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