実録!公立中学の不透明な「内申」と高校受験 「中学受験」がコロナ禍でも増えている納得理由
現在、名門都立高校に通う女子生徒は、「実技教科で“5”をとるために、ひたすら先生に気に入られるように頑張った。セクハラみたいなことをされても、内申のためだと耐えました。そもそも、先生に反抗したり、嫌われたりすると内申に響くと皆知っている。だから3年次は誰も先生に反抗しない」と言う。この女子生徒は、太っている体型を先生にいじられても、耐えていたという。
つまり、彼女が通う中学校では、完全なイエスマンが評価される。ステレオタイプの“いい子”にならなければ、内申点は取れないというのが、暗黙の了解事項になっていたのだ。
度重なる先生の暴力といった不祥事も、学校内における「絶対的な強者」と「隷属せざるをえない弱者」の関係が背景にあることは間違いないだろう。
この内申点は、3年生になってから頑張っても手遅れであることが多く、1年生からコツコツと信頼と実績を積み重ねなければならないというのが、筆者が取材した全員共通の認識だった。
そして中学での勉強は複雑で広い。塾に行っている子とそうでない子の成績は“二極化”ともいえるくらい開いていた。
ある保護者は「多くの教科の平均点は50点前後。でも点数分布図を見ると、0~40点に大きな山があり、50~80点はほぼいない。そして80点以上に大きな山がある。成績の二極化が進んでおり、コロナで加速した」と語っていた。
内申が取りにくいのが、中学受験に失敗し、公立に入ってきた生徒だという意見も多い。
中学受験で私立を“全落ち”した生徒
ここで、23区内の中学校から、私立高校を志望した生徒の話を紹介する。
現在、私立大学付属高校に通う男子生徒は、「僕は、中学受験で私立を“全落ち”して、公立中学校に進学しました」と語る。
人気中学校は狭き門だ。彼のように“全落ち”をする子は少なくない。
「同じく全落ちし、公立中学校に来た子のほとんどが、事実を受け入れ、中学生活を楽しみました。もともと基礎学力が高いから、テストの点が取れるんです。僕はリベンジの意味もあり、私立高校に進学しました。でも一部に、先生や中学受験の経験がない生徒を心のどこかでバカにして、ふてくされた態度をとる人もいた」と中学時代を振り返る。
彼が通っていたのは、都心の名門とされる公立中学校。その態度が悪い生徒は、郊外の区から越境して通学していたという。
「地元中学校に通うのが気まずかったんだと思います。彼はよく公立は授業が遅く、レベルが低いといい、塾に通っていた。ペーパーテストの点数はいいのに、授業態度が悪く、本来ならオール5でもいいはずなのに、4と3だらけだった。結局彼は志望していた都立高校に受験すらできず、別の私立に行った」
授業態度が悪いと言っても、妨害するわけではなく、先生を小ばかにする程度だったが、悪いイメージがついてしまうと、その印象は引っ張られていくのかもしれない。
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