ルネサス、「凄惨工場火災」でも増益宣言の必然 「1カ月生産停止」を吹き飛ばす半導体特需
工場火災の凄惨な印象をはねのける、好スタートとなった。
半導体大手のルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)は4月28日、3月の工場火災事故後初めてとなる決算を発表。2021年12月期の第1四半期(1~3月期)決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比14%増の2036億円、営業利益は同126%増の301億円だった。
ルネサスといえば、3月19日に主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で大規模火災が発生したばかり。大型の直径300ミリのウェハーを加工する「N3棟」において、1階クリーンルーム内のメッキ工程に使う装置で過電流が発生して出火。23台の製造装置が焼損した。
火災影響あっても増収増益予想
火災直後は、製造途中の「仕掛かり品」を完成品まで加工して出荷を続けたが、仕掛かり品も底をついた4月半ばには、那珂工場からの出荷が完全にストップした。そのため、火災事故が1~3月期の業績に与える影響は軽微で、大きな押し下げ要因が作用するのは、4~6月期になる。
ところがルネサスは決算説明会で、4~6月期に関しても前年同期と比べて売上高、利益とも大きく伸びる計画を打ち出した(通年の業績予想は非開示)。
「凄惨な状況だった」(ルネサスの柴田英利社長)火災事故の影響をもろに受けるにもかかわらず、4~6月期も好業績が続くのはなぜなのか。
火災があった工場はルネサスにとって主力の生産ライン。ここで作る製品の月商は170億円程度と、ルネサス全体の売り上げの3割弱に当たる。
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