ルネサス、「凄惨工場火災」でも増益宣言の必然

「1カ月生産停止」を吹き飛ばす半導体特需

2020年春は新型コロナウイルスが世界中に蔓延し始めた時期。各国で厳しいロックダウンが行われ、あらゆるものの需要が「どん底」の状態だった。たとえば2020年4月の国内の新車販売台数は、前年同月比28.6%減に急落(日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会調べ)、欧米ではさらに大きな落ち込みとなった。増収増益が続く背景には、昨年の4~6月期のハードルが低いという一面もある。

火災からの復旧が早かったことも重要なポイントだ。N3棟は火災から1カ月も経たない4月17日に生産を再開した。4月19日に開いた記者会見で柴田社長は、「国内だけでなく海外からも、通常では考えられない支援をいただいた」と話した。

「奇跡的回復」の裏に多くの支援

自動車の生産に支障を来している状況が日本や世界の経済に与えるインパクトを鑑みて、多くの関係者が復旧に協力した。事情を斟酌した製造装置メーカーが、ルネサス向けの納入を優先する特別対応もあったようだ。

また、ほかの工場でも生産が可能な製品については、自社の西条工場(愛媛県西条市)や、台湾の受託製造大手TSMCに委託して代替生産するなどのリカバリー策もあった。

柴田社長自身も「奇跡的な回復」と評するほどの順調な立ち直りを見せ、決算発表の翌営業日・4月30日の同社の株価は3.2%高の1275円(終値)に上昇した。株式マーケットも、想定を上回る好調ぶりと受け止めているようだ。

このまま業績や株価が好調に推移すれば、ルネサスの筆頭株主で32.1%の株式を持つ政府系ファンド・INCJのエグジット(投資回収)が進むことも考えられる。

フル稼働状態さなかの火災事故による生産停止に見舞われたルネサス。計画通りの好業績を維持できるかが、"完全復旧"への試金石となる。

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