新型コロナウイルスの感染者が増える中、注目されているのが人工呼吸器と人工肺(ECMO)だ。
人工呼吸器は患者の肺を利用して呼吸を助け、ECMOは肺の代わりの機能を体外で行い、肺を一時的に休ませる効果がある。だが、いずれも台数に限りがある。
特に喫緊の課題が人工呼吸器の確保だ。異業種も含めて増産を急いでいるが、患者数の爆発的な増大に追いつくことができるかどうか、予断を許さない状況になってきている。
テスラも人工呼吸器の生産に乗り出す
感染が爆発的に広がっている欧米では人工呼吸器が不足し、高齢患者への使用が制限されるなど、「命の選別」を迫られる局面に入ってきている。アメリカ・ニューヨーク州のクオモ知事は4月2日の記者会見で、「州の人工呼吸器はあと6日分しかない」と苦境を訴えた。
トランプ大統領は3月末、アメリカ企業に対して人工呼吸器の生産を命令。これを受け、自動車大手のフォードやゼネラルモーターズ(GM)、テスラといった大手企業が続々と人工呼吸器の生産に乗り出している。
イギリスでは新興家電メーカーのダイソンが、政府の要請を受けてからわずか10日で開発を完了したと発表した。また、中国のアリババ集団幹部の財団が1000台の人工呼吸器をアメリカに寄贈するなどの動きも出ている。
一方、日本では安倍晋三首相が4月6日、新型コロナウイルス対策本部の会合で人工呼吸器を1万5000台確保し、今後も増産する考えを表明した。日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会によると、2020年2月時点で国内にある人工呼吸器は2万2254台。このうち1万3437台が使用されていない待機状態だったという。