日本では、「コミュニケーション」は「慣例」などに従って行われるもので、その巧拙は「才能が決めるもの」と考えられています。一方で、アメリカなどでは、「コミュニケーションは科学であり、学ぶものである」という認識が一般的です。
「なんとなく、周りがやるように」という日本スタイルとは違い、脳科学や心理学、行動経済学など、アカデミックに「分析・研究」が行われ、「最適解」が導き出され、その「方程式」に基づいて、「誰もが鍛え、上達させることができるもの」なのです。
例えば、「第一印象」といった、あまり学術的ではないように見えるテーマでも、多くの有名大学の学者の手で科学的に徹底的に分析されており、無数の論文が存在することに驚かされます。
今回はそうした、「第一印象と愛想のよさの科学」について紹介しましょう。
「第一印象」は「10分の1秒」で決まる
「第一印象」ははたしてどれぐらいの「時間」で作られるものかについては、諸説があります。
「3秒」「7秒」「15秒」などと言われますが、プリンストン大学の研究では、なんと、「たったの『10分の1秒』誰かを見ただけで、その印象は決まってしまう」と結論づけています。
被験者に見知らぬ人の顔の写真を10分の1秒見せた場合と、もっと長い時間見せた場合で、印象は変わらなかったそうです。
人は誰かと会った瞬間に、印象を形作ってしまう、この現象は「snap judgement」「thin slicing」などと呼ばれます。
「snap」とは「即」「すぐに」ということですが、まさにほんの一瞬の判断ということ。「thin slicing」とは、まるで、MRIにかけるように、うすーく表面をスライスするように判断されてしまうということです。
なぜ、そのような「短時間」で作られるのか。それは人間の「生存本能」に関係しています。
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