知らない人や動物に遭遇したときに、「敵か味方か」と瞬時に判断しなければ、命が危険にさらされてしまいます。「信頼できる人」か、「安心してもいい」か、「一瞬」でその評価を決めてしまう必要があったのです。
一度できた「印象」は、なかなか覆らない
実はこの「第一印象」。あっという間に作られるものなのに、一度できてしまうと、それを覆すのは、なかなか難しかったりします。タフツ大学の研究では、最初の授業を受ける前に生徒が講師に持った印象は「2年たっても変わっていなかった」そうです。
つまり、最初に「嫌な奴だな」と思われてしまうと、その印象を変えるのは容易ではないということで、そこには、「確証バイアス」と言われる認知の歪みが関係しています。
確証バイアスとは「自分の仮説や信念に合致した情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証する情報を無視する」こと。つまり、Aさんが、「Bさんは冷たい、意地悪な人だ」と思い込んだ場合、Aさんはその後、Bさんのそうした側面ばかりに着目してしまうのです。
コーネル大学の教授は「第一印象は『自己充足的予言』のようなもの」と表現しています。何気ない表情やしぐさ、言葉でも、「やっぱり、私の思った第一印象のとおり、この人は〇〇なんだ」と解釈して、そのイメージを勝手に増幅していくというわけです。
つまり、フィルターやメガネのように、一度作られてしまうと、「そのレンズを通してしか判断されなくなってしまう」わけです。
もちろん、その後じっくり話す機会があったり、仲良くなったりすれば、イメージを変えていくことはできるわけですが、多くの場合、そこまでの時間を共にすることはできないため、最初の印象が一生こびりついてしまいがちになるというわけです。
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