今後伸びる業界を知るには「これだけ」見ればいい 業界1位の会社のIRだけ見るべき理由
まず、業界の市場規模は1つの重要な目安となります。このパイが大きければ大きいほど、ビジネスチャンスが大きいと判断できるからです。
少なくとも、おおよそどの業界でもトップの会社は上場しています。業界トップの会社の有価証券報告書を読むだけで、かなり業界研究に役立つと断言できます。
有価証券報告書は、業界トップの企業を見るのが最も効率的です。というのも、業界2位以下の企業を見ると、「脅威」について記述する部分で、必ず業界トップに言及することになります。「業界トップにどう勝つか」という視点での記述になってしまうので、業界全体の展望としては偏りが出てしまうのです。
ほとんどの転職情報にはバイアスがかかっている
転職サイトや会社のホームページは、要約すればすべてがプロモーションページ。その会社にとって有利な情報しか載っていません。にもかかわらず、意外と多くの人がこういうバイアスがかかった情報源から得た情報を得るだけで満足してしまっています。
一方で、有価証券報告書には自社が抱えるリスクや弱みまでもが丁寧に記述されています。投資家に向けてリスクを開示しなければならないからです。
例えば、化学プラント工場を運営している会社の場合、環境問題への対策にどれだけのコストがかかっており、そのコストが経営に与えるリスクについても明らかにしています。こういった記述を丁寧に読み解くだけでも、そうとうな情報が得られます。
また、競合状況についての情報も、業界の伸びしろを知るうえで重要なポイントです。わかりやすい事例として、百貨店最大手企業の有価証券報告書を読むとします。ここには、百貨店業界全体で約6兆円の市場規模となっていることが書いてあります(2019年)。
ただ、アマゾンやヤフーショッピングなど、新興ECの伸長によって業績の伸びが鈍化していることも記述されているはずです。要するに、人がネットで買い物をするようになったせいで、百貨店の売り上げ自体は低迷しているというわけです。
「新興勢力によって業界のパイが浸食されている。それが脅威となっている」という場合、逆の視点から見れば新興勢力が伸びているということです。
こういう情報を知れば、「伸びているECの業界のほうにチャンスがあるのでは」などと考えられるようになります。そこから実際にECについての情報を調べていけば、何か現状のポジションと近いポジションが見つかるかもしれません。こうやって業界全体を俯瞰して見るという視点が大切です。
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