スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職 

一方的な経営陣の方針に抗議の意思表示か

「研究日」を廃止する措置の説明会で配布された内部資料(筆者撮影)

東京女子医大の経営統括部が、教授ら管理職に対して配布した学外秘の資料を筆者は入手した。そこに記されたポイントを要約すると、次のようになる。

・「研究日」に医師の「外勤」をあてる慣例があったが、国が推進する「医師の働き方改革」に合わせて、今年3月末で廃止する
・東京女子医大に勤務する医師は「週39時間」の労働義務を負う
・「外勤」を継続する医師には「週32時間」勤務の選択肢を用意するが、給与は相応の水準とする

研究日の廃止によって、医師には2つの選択肢が与えられた。

まず、「週39時間」勤務を選ぶと、外勤をしていた1日分を東京女子医大で働き、現在と同じ額の本給が支給される。ただし、外勤で得ていた1カ月あたり32万~40万円分がなくなるので、そのまま減収になる計算だ(あくまでも概算。医師の経験や技量によって、外勤先からの収入はさまざま)。

一方、週1回の外勤を継続すると、これまでどおり1カ月あたり32万~40万円の収入は確保できる計算だが、毎週1日分は本給から引かれてしまう。

どちらを選んでも収入が大幅に減る

いずれにせよ、どちらを選んでも、現在より収入が大幅に減ることは間違いない。

研究日の廃止は、働き方改革に名を借りた、人件費のコスト削減が真の目的なのではないか?

医師たちの間に、疑念が深まった。アンフェアな経営側の姿勢に不信感を募らせた結果、東京女子医大を去るという決断は必然だった。

「うちの医局は大荒れになりました。学費や住宅ローンを払っている医局員は、外勤ができないと生活が立ち行かなくなりますから、すぐに退職を決めた者もいます。コロナ対応で疲弊している私たちに、なぜこのような仕打ちをするのか、理事会には怒りを覚えました」(ベテラン医師)

「経営側は、研究日の廃止について学内で説明会をしたといっていますが、私も含めて誰も知りませんでした。いきなり外勤の病院を辞めると迷惑がかかりますし、いちばん困るのは患者さんではないでしょうか。外勤を続けたら、ただでさえ安い基本給がカットされるなんて、絶対に納得がいきません」(30代医師)

東京女子医大・労働組合の顧問を務める、東京法律事務所の大竹寿幸弁護士は、法的な問題点を指摘する。

「東京女子医大の資料には、研究日の外勤を慣例として認めていたと記載されています。今回の規則改定では、研究日の外勤は所定労働時間に含まないとしたうえで、研究日だった1日分を東京女子医大で働くことを要求しています。

そうすると、医師の勤務労働時間が伸びるのに、東京女子医大が支払う賃金は同じ。つまり実質的な賃下げですので、医師にとって『不利益変更』にあたると考えられます」

次ページ不利益変更とは?
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • コロナ後を生き抜く
  • 最強組織のつくり方
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「ニッポン半導体」敗北の真相
「ニッポン半導体」敗北の真相
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
勝ち組シニアと負け組シニア<br>定年格差

「45歳定年」発言に対し一部で猛反発。現実には法改正で70歳までの雇用確保が今春努力義務化されました。人生100年時代といわれる今、従来の定年はもはやなくなりつつあります。老後も働くシニアが第二の人生を勝ち抜くためにすべきことは何でしょうか。

東洋経済education×ICT