企業のDX化には「本棚を眺める」事が不可欠な訳 まずは外部環境の棚卸しをすることが大切だ

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経営のヒントは本棚にあるようです(写真:: Graphs /PIXTA)
デジタル化が進む中で、自社でもDXを取り入れたいという企業は多いのではないでしょうか。東京大学未来ビジョン研究センター客員教授の西山圭太氏が上梓した『DXの思考法――日本経済復活への最強戦略』(冨山和彦解説)を一部抜粋・再構成してお届けします。

デジタル化が転換点を過ぎた現在、経営者のあなたは自社のDXをどうイメージするべきなのか。白地図に自社のポジションを書き込むというイメージをもう少し具体化すると、「本屋の本棚の前に立ってみて、そこにない本を探すことをイメージしよう」、ということになる。

つまり、自分の会社のDXを考えるときに、IT部門の人間を呼んで自社の持っているシステム構成や自社が保有しているデータについて質問するのではなく、むしろ先に、外部環境のほうを棚卸ししてみよう、ということだ。

デジタル化の転換点は「レイヤーが積み重なって、ビジネスの全体をソフトウェアでコントロールできるようになった」と表現できる。ここではその先の話をする。つまり、そのソフトウェアやデータセットの多くがプロダクト、サービスになっているということだ。

あなたのビジネスを組み立てるために埋めなければならない本棚があるとすれば、自分で文書を作り書類ファイルを作成せずとも、本屋に行って本を買えば、かなりを埋めることが出来るようになった、ということだ。

本屋で外部環境の棚卸しを

そうなると、自分であれこれ考えるよりも、本屋に並んでいる本を見て外部環境を棚卸ししたほうがいい。そして、そのやり方のほうが早道で、誤りが少ないはずである。なぜそうなのか。

第1に、それは、世界をベンチマークすることになるからである。デジタル化が進む世界では、業種の垣根に関係なく、多様な企業がデジタルの力を使って新分野に参入する。あなたがこれまで競合だと思っていた企業が明日のあなたの競合だとは限らない。

しかし、今までは他の業種だと思っていたプレイヤーを含めて共通に注目しているところがあるとしたら、このデジタル化の本棚のはずである。その同じ場所を見ることによって、自然にベンチマークができる。と同時に、それによって少し先の未来に起きそうなトレンドを見ることにもなるので、変化に強くなる。

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