企業のDX化には「本棚を眺める」事が不可欠な訳

まずは外部環境の棚卸しをすることが大切だ

彼の図は2つの軸からなる。縦軸は「可視化軸」と呼ばれる。顧客から見て「見える」か「見えない」かの軸だ。ネットフリックスならばコンテンツ自体やデバイスは顧客から「見える」。

しかし、クラウド上で提供されるメモリーは「見えない」。そのことを指している。横軸は何か。それはデジタル技術の開発発展段階である。左が構想開発の段階にある技術で、右は製品化される段階、さらにはコモディティ(ユーティリティ)になっている段階にあるものを指す。時間が経過すれば、左にあったものが右に移っていく。

ウォードリー・マップの特徴は、本書の本棚の喩えとよく似ている。実際に図示しないとわかりにくいと思うので、ウォードリーが20年近く前に経営していたオンライン写真サービスのビジネスをサンプルとしてこのマップに落とし込んだものを、下記の【図表】として掲げる。

ウォードリーは、こうしたマップが当時あれば、例えば、ここでいうプラットフォーム機能がより右に移動してクラウドサービスになることを予見し、それを元にした事業展開があったのかもしれない、と考えているようだ。

本屋にあるものはそこで買うべき

ウォードリーの縦軸は、実質的には本書でいうデジタル化の基本的なレイヤー構造と同じである。なぜならば、ウォードリーは、顧客から見えるかどうかを「可視的か否か」の判断に使っているからだ。したがって、顧客の求める実課題に近いものが「上」、遠いものを「下」だと考えて縦軸を設定していることになる。ゼロイチの物理層に近いのが「下」で、実課題のソリューションが「上」だと言っている本書のレイヤー構造の順序と同じである。

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横軸でウォードリーが言おうとしているのは、左から右への移動が必ず起きる、ということだ。ある時期には開発され新しかったもの、カスタマイズしなければ利用できなかったものが、必ずいずれプロダクトになって、誰でも入手利用可能になる。

それを見誤ると競争に敗れる、ということだ。そしてその典型的なケースとして、ネットフリックスに敗れたブロックバスター社の例をあげる。ブロックバスターは、ネットフリックスよりも先にストリーミングサービスに注目していたにもかかわらず、ユーティリティ化したクラウドサービスの使い倒しなど、右への移動で後れをとった。

その例を通じてウォードリーは、プロダクトになっているものをいちいちカスタマイズするのは愚かだという主張をしている。「本屋にあるものはそこで買え」と言っているわけだ。

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