武装闘争に突入「ミャンマー」国軍の残忍な手口 武器を持たない通行人や子どもまで殺害された
その部隊はミャンマー国境地帯にあるジャングルで訓練に汗を流していた。学んでいるのはライフルの装填方法、手りゅう弾のピンの抜き方、火炎瓶の作り方だ。
これらの見習い兵は、2月の軍事クーデターで権力を掌握し、戦場のような残虐さで民間人を弾圧しているミャンマー国軍の構成員ではない。この部隊は学生や活動家、普通の会社員など、さまざまな人々が集まってできたものだ。彼らは、世界でもとくに残酷な振る舞いを見せている国軍を打ち負かすには力で反撃するしかない、と信じている。
クーデター以降、通行人まで殺害されている
「国軍は思考能力のない野生動物と同じだ。武器を手に蛮行を繰り返している」。ジャングルの中で1週間のブートキャンプ(新兵訓練)に参加していたミャンマー最大都市ヤンゴン出身のある女性は、こんな言葉を口にした。武装闘争に加わったほかの人々と同様、名前を伏せる条件で取材に応じた。タッマドー(ミャンマー国軍)から標的にされるおそれがあるためだ。
数週間の平和的な抗議運動を経て、2月1日のクーデターに対するミャンマー抵抗運動の最前線は今、一種のゲリラ部隊に変容しつつある。都市部では抗議者が自宅周辺にバリケードを築いて軍の侵入を妨害し、インターネットで発煙弾の作り方を学んでいる。ジャングルでは基礎的な戦闘訓練を行い、国軍関連施設に対する破壊工作の計画を練っている。
新たな前線部隊の死に物狂いの大胆さは、政治哲学の論文を銃に持ち替えた、かつてのミャンマー民主活動家たちの先鋭化ぶりを思い起こさせる。現在の強硬な抵抗は、過去と同様、締め付けを増す軍の恐怖政治に対する防衛反応なのだ。
国軍は平和的な抗議者だけでなく、武器を持たない通行人にまで武力を行使し、人権監視団体によれば、クーデター以降、少なくとも275人を殺害してきた(3月24日時点。その後、ミャンマー国軍は27日の国軍記念日に市民を100人以上殺害した)。