「新しい環境に馴染めない人」のための処世術 無理してまで「みんなとうまくやる」必要はない
Jam:昔は何かあるたびに落ち込んだり、対処法を探したりしていました。でも、それってものすごく手間のかかること。いろんなやり方で受け流す練習を10年くらい続けるうちに、「いちいち考えるのは面倒くさい」と考えるのがいちばんいいと思うようになり、だんだん自然に受け流せるようになりました。
独立してフリーランスになり、「強くならなければ」と思うようになったことも、変化に結びついたのかもしれません。
「誰かを嫌う」ことはいけないことなのか?
武田:私はHSPを「繊細さん」と呼んでいますが、繊細さんはまわりの状況や相手の感情に細やかに気づくため、気づいたことすべてに対応しているとキャパオーバーになってしまいます。
半自動的に対応する前にいったん立ち止まり、「自分はそれをやりたいのか」「それをやる余裕があるか」を確認することが必要です。「私はこうしたい」という自分の本音に耳をすませることで、少しずつ自分のままで生きられるようになっていきます。
これまでまわりを優先していた人が自分に目を向けるようになると、自然と出てくるのが「イラッとする」「嫌い」といった感情です。繊細さんは相手の事情を思いやる力が強いので、怒ったり嫌ったりすることが苦手な人が多い。「私にも悪いところがあったし」とか、「誰かを嫌うのは悪いことだ」と思ってしまうのです。
そんなときは「怒っていいんだよ」と自分を許可してあげてください。「イヤだ」「嫌い」とはっきり思えることは、繊細さんにとって大きな一歩です。その感情を相手にぶつけるかどうかは別問題なので、伝える際は冷静になる必要がありますが、まずは自分の感情を認めてあげることが大切です。
Jam:私は、昔はイラッとしたりモヤッとしたりすることが多く、一時期は感情を押し殺そうとしていたこともありました。でも、怒りや悲しみを押し殺すのに慣れると、喜びや幸せまで感じにくくなってしまうことに気づいたんです。
受け流すことを覚えてからは、昔より心が波立たなくなりました。何か言われてイラッとしたら、その感情自体は受け止めますが、「これくらいで悩むなんて面倒くさいな」とか「今ごろパフェでも食ってるだろうな」とか、最終的には「生きる分には何の問題もない」と思考を段階的に上げて、無駄に悩まないようにしています。