「新しい環境に馴染めない人」のための処世術 無理してまで「みんなとうまくやる」必要はない
武田:波乗りをするみたいに、自分のイライラをきちんと感じながらなだめていくことができているんですね。JamさんはSNSでも活動されていますが、SNSを使っていて悩むことはありますか?
Jam:『パフェねこ』のような本を出していると、聖人のようにいい人だと勘違いされることはよくありますね。その人が悪いわけではなく、人によって解釈が違うだけなので、「私はそういう人間ではありませんよ」と冷静に訂正します。反対に、もし悪口を言われたとしても、「そう見えることもあるんだな」と考えるようにしています。
SNSで情報収集したいけれど、自分が傷つく投稿を見たくないというときは、よくやるのがキーワード検索。「Jamさん」とさん付けしてくれる人や、本のタイトルを正確に書いてくれる人は、誠実な投稿の可能性が高いです。あとは、Twitterで心が穏やかでいられる人だけをフォローしたリストを作るのもおすすめ。私はネコしか出てこないリストを作って癒されています(笑)。
新しい環境になじめないときは
武田:新しい環境で新たなスタートを切る人が多い季節ですが、Jamさんは会社員時代、職場での人間関係はいかがでしたか?
Jam:基本的にはうまくいっていましたが、合わないと感じる人はやっぱりいましたね。努力のわりに評価を得られなかったり。相手の見方を変えることは難しいので、自分に何ができるかを考えるようにしていました。得意分野を伸ばして結果を出すと、いろいろな立場の方が見てくれるようになり、結果的に自分の味方が増えて働きやすくなりました。
フリーランスの今は、自分に「逃げること」を許しているので、どうしても気が合わない人からの仕事は丁重にお断りします。
武田:相手を苦手だと思ってもいいんですよね。「みんなとうまくやらなきゃ」「相手を好きにならなきゃ」と思っていると、苦手な相手ほど必要以上に話しかけてしまって、余計に疲弊したり傷ついたりしてしまいますから。苦手な人とは距離を置くか、距離を置けない上司や同僚の場合は、メールする際にほかの人をCCに入れるなど、なるべく二人きりにならないようにするといいと思います。
プライベートでやりたいことをやるのも大切です。職場でイラッとすることがあっても、ほかで熱中していることがあると「ま、いいか」と思いやすくなります。
Jam:会社員時代、プライベートでバンドを組んでいたのですが、それがあったから苦手な人がいてもなんとかやってこれたのかも。外の世界には自分を正しいと言ってくれる仲間がいたので、会社で認められなくても自信を失わずにいられた気がします。
武田:「愚痴を言う」って大事なスキルですよね。職場とは関係ない場所で愚痴ってみる。話を聞いてもらうだけでスッキリするし、話すことで思考が整理されて、前に進む力が湧いてきます。
Jam:愚痴を言うのがはばかられるときは、「これは愚痴じゃなくてただの事実」と思うようにしています。愚痴に聞こえるのは、相手がそれだけのことをしているから。
武田:それはいい考え方ですね。
繊細さんの場合、人一倍たくさんのことを感じて、そこが安全な場所かどうかを細かに見ていますから、新しい環境になじむことが苦手な傾向にあります。ですので「早くなじまなきゃ」と思うのではなく、これまでの経験をもとに「3カ月ぐらい経てば慣れてくるだろう」のように、長い目で自分を見てあげるのがおすすめです。
それから、これまでのルーチンを大切にしてください。変わらないことは安心感につながりますから、「出勤前にコーヒーを淹れる」など朝のルーチンを意識するだけでもOKです。転勤や入社・入学などで引っ越しを伴う方は、カフェや雑貨屋さんなどなじみの場所を早めにつくるのもおすすめ。顔見知りの店員さんとちょっとした言葉を交わすだけでも、新しい環境での緊張から解放されてホッとできると思います。
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