中学生以上の子どもの「おこづかい」の渡し方 親子間の「金銭感覚の共有」が信頼につながる

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ただし、これは本人の性格やお金の管理能力をよく見て親が調整することが大事です。

「おこづかいプログラム」を小学校時代からなど小さい頃から長く継続していて、子どもの管理能力がよくわかっているなら、その段階に応じて裁量を増やしていけばいいでしょう。でも、もし中・高生になってこれからこの「おこづかいプログラム」を初めて取り入れるのであれば、最初は前回までに提案した金額の出し方に従って、裁量も本当に文房具などの最小のものに絞って始めたほうがいいでしょう。

というのは、中学生になると、子どもは親の価値観よりも友達同士、仲間うちの価値観でお金を使うようになってしまうから。小さい頃から「おこづかいプログラム」で親の価値観もしっかりと伝え、本人のマネーマネジメントの実力も上がっている子とは土台が違うからです。そのため、実年齢より小さい子だと思って始めたほうがいいと思うのです。

おこづかいの別の効果

「必要なお金」もここまでくると、まさに「生活費」に近づいてきていますよね。中・高生の子どもと、このお金を洗い出して金額を決めるときに、次のようにしてみてください。

ファストフード代などの外食費やスマホの使用料、子どもによっては服飾費について、日ごろかかりすぎに頭を悩ませているときに、とくに役立つと思います。

今まで本当にかかっているお金と、親の希望の差を、このとき現実的な範囲ですり合わせをして上限を決めるのです。これを超えたらあとは、子どもが自分の「欲しいもののためのお金」やそれまでの貯金を使う、スマホならやめる、などの約束をするのです。

子どもは自分の裁量になったら、これまでよりちゃんとケチになれます。やはりどこまで使っていいかの予算がはっきり目で見えることの効果は絶大なのです。

このときに注意したいのは、親が少しでも自分が得するようにと(?)無理な約束をしては絶対にいけないということ。この「おこづかいプログラム」はフェアであることが効果を最大にもたらす秘訣。

もともと無理な予算でやりくりするのには、かなりの実力と努力、つまり時間が必要だからです。また、お金と時間はいわば“行ってこい”の関係。節約するためには時間が必要で、ある限度を超えての無理な節約は忙しい中・高生には適切ではないと思います。

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