私が6年前に本社を大阪から淡路島へ移した訳

創業93年の老舗メーカーが採った大胆な改革

海を見ながら仕事する社員たち。彼らは6年前は駅前にいました(写真:NHK大阪拠点放送局)
日常生活から製造の現場まで、世の中は「混ぜる」場面であふれている。コーヒーを飲むときは砂糖やミルクを入れて「混ぜる」。お風呂の温度が熱いときは水を入れて温度を一定にするために「混ぜる」。洗濯機やジューサーも「衣類を洗い清潔にする」「美味しいジュースを作る」ために「混ぜる」。
それら「混ぜる」行為そのものはあくまで「手段」でしかなく、目的を達成するためにあるモノを細分・均一化させる行為を「撹拌(かくはん)」と呼ぶ。私たちが日々目にしたり、手に取ったりするモノに、実は撹拌が関わっていることは少なくない。
NHK大阪拠点放送局が制作する「ルソンの壺」は1月31日の最新放送回(関西地域で7時45分〜8時25分放送)において「混ぜる力」に注目し、撹拌機メーカー「プライミクス」(設立1949年、本社:兵庫県淡路市)と繊維のリサイクル会社「カラーループ」(設立2019年、本社・京都府京都市)を取り上げた。
このうち、プライミクスは1927(昭和2)年にクロムめっき加工で創業。1949(昭和24)年に「特殊機化工業」という名称の高速撹拌機メーカーとして設立された会社だ(2005年に現社名に改称)。油性の顔料を混ぜられる繊維業界向けの撹拌機を出発点として化粧品、食品など幅広く用途を広げてきた。
創業一族で2004年に社長、2020年から会長を務める古市尚氏が入社したのは2001年。外食、食品産業などで主にコンサルティングの経験を積んだ後の転身だった。その古市会長が打ってきた大胆な経営改革に経済ジャーナリストの三神万里子氏と狩野史長アナウンサーが迫った。番組本編に収まりきらなかった部分も含めてインタビューをお届けする。

昔ながらの職人気質のメーカーだった

三神 万里子(以下、三神):古市会長は特殊機化工業(現・プライミクス)に入社される前は、外食産業のコンサルタントを務めておられたそうですね。今の機械装置産業とはまったく違う業種です。どういった経緯でこの業界に?

古市 尚(以下、古市):2001年にまず監査役として入社しました。当社は私の祖父が創業し、私の父、その後に兄が会社を継いだのですが、兄が48歳で急逝してしまい、私が急遽呼び寄せられたのです。当時、私も自分でコンサルティングの会社を立ち上げていましたので、「両方の会社を経営してもらえないか」と父から要望されました。これまでとはまったく違う業種だったため、まずはいったん監査役で引き受けました。

三神:入社当時の印象は?

古市:「いいモノさえつくっていればお客様は向こうからやってくる」という昔ながらの職人気質な機械メーカーでした。工場にお客様がいらっしゃっても従業員は挨拶もせず、当時はホームページもなく、メールさえも使っていませんでした。

次ページ現場の反感もある中で、何から着手した?
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