「温水洗浄便座で洗いすぎのお尻」が大変なワケ 皮膚表面のバリア機能が失われている可能性

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お尻の「洗いすぎ」はさまざまなトラブルを引き起こす可能性があるようです(写真:kimtoru / PIXTA)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークの導入が進むなど働き方に変化が生じてきました。椅子に座る時間が以前より長くなったことで、お尻のトラブルに悩む人もいるかもしれません。『痛み・かゆみ・便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』を上梓した、肛門科医の佐々木みのり氏が、お尻のトラブルが起こる原因と解決方法を紹介します。

温水洗浄便座で「洗いすぎ」が原因?

お尻のトラブルで来院される方には、1つの共有点があります。それは、体やお尻をよく洗っていることです。トイレに行けば必ず温水洗浄便座の洗浄機能を使う。お風呂でせっけんをつけてしっかりこすり洗いをする。中には、肛門を消毒している方までいらっしゃいます。しかし、「お尻は清潔にしておかなくてはいけない」と意識を高く持って洗っている人ほど、お尻は汚れているかもしれません。

温水洗浄便座を愛用している方のお尻を診ると、

  • ・肛門が真っ白
  • ・肛門が真っ黒
  • ・肛門がシミだらけ
  • ・肛門プツプツ病
  • ・肛門がつっぱる
  • ・肛門がペタペタする
  • ・肛門がテカテカする
  • ・肛門ヒリヒリ病
  • ・洗いすぎ切れ痔
  • ・肛門に性病
  •  

といった悲惨な状態になっていることが往々にしてあります。ほかにも、下着に便がついている方や、肛門に紙がくっついている方までいらっしゃいます。これらは、お尻の洗いすぎが原因の場合があります。なぜ、お尻を洗いすぎると、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうのでしょうか?

それは、お尻を洗いすぎると、「皮脂膜」がなくなってしまうからです。皮脂膜は、皮膚の表面を潤している天然の油分であり、とても重要な皮膚のバリア機能を担っています。

皮脂膜は外部から有害な物質を侵入するのを防ぐだけでなく、弱酸性のためバイ菌の増殖を防ぎ、皮脂膜の中にいる常在菌が肌を守ります。

また、皮膚の表面が皮脂膜という油分で覆われているので、皮膚内部の水分が蒸発せずにすんでいます。肌を守り、水分の蒸発を防ぐ皮脂膜は、洗いすぎると簡単になくなってしまいます。そのため、洗いすぎたお尻は免疫力が低下して、さまざまなトラブルを引き起こすのです。

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