「新幹線のお掃除」に一流が学びを求める理由 その現場力がハーバードの必修科目になった
JR東京駅の新幹線ホームで、整列して待機をしているお掃除のスタッフを目にしたことはありませんか? 彼ら、彼女たちは列車が折り返す間に与えられたわずか7分の停車時間のうちに、車両清掃からトイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物のチェックなどをテキパキと完璧に終えます。
2コースで必修は極めて異例
この車両清掃を行っているのは、JR東日本テクノハートTESSEI、通称「テッセイ」という会社です。このテッセイの事例が、今秋から米国のハーバード大学経営大学院の、MBA(経営学修士)1年生の必修科目で採用されることが決まりました。
しかも、単独の科目ではなく、リーダーシップのコースと、技術マネジメントのコースの共同で教える特別カリキュラムとして扱われるのだそうです。つまり2人の教授による授業なのですが、これは非常にまれなケースだといわれています。
私は、JR東日本勤務ののち、2005年にテッセイの前身である、鉄道整備株式会社の取締役経営企画部長に着任しました。テッセイを退職する2014年までの間、国内はもちろん、海外からも、実に多くの方が私たちの取り組みを見学に来ました。
海外からは、米国だけでなく、インドや韓国など、各国から視察に訪れるのですが、テッセイのスタッフが、掃除を正確に完璧に、礼儀正しく、そしてモチベーション高く行っていることに驚きます。ハーバード大学のイーサン・バーンスタイン助教授も、「上司による管理や金銭的な報酬ではない、スタッフの動機づけの稀有な例だ」と非常に感銘を受けていました。
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