駒形の「町中華」44年の歴史絶やさない血縁の志 高齢化とコロナ禍に伴う閉店を息子が引き継ぐ

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「MANNISH」は、さまざまなラーメン店で修行をして腕を磨いた店主であり、柴田等さんの息子、柴田和さんが営む“塩生姜らー麺”の専門店。新潟・長岡で有名な生姜醤油ラーメンなどにインスパイアされ、独自の味を追求。ヘルシーな生姜を使い、女性でも食べやすい一杯で人気のお店である。

たっぷりの生姜を使った「塩生姜らー麺」は、女性でも食べやすい一杯だ(筆者撮影)

つまり「麺駒」は珍しい形で親から子へと引き継がれることになったのである。

柴田和さんは「両親のやっていた町中華とは違う形ではあるが、同じ場所でラーメンを振舞うことで少しでも親孝行になれば」と語る。

「浅草は外国人観光客がいなくなり、一気に客足が減りました。協力金をもらえたとしても、店がヒマだと気が滅入ってしまうものです。『麺駒』は本当はもう2年ぐらい続ける予定でしたが、昨年12月で閉店することになったんです。

昔は週に何度もラーメンを食べさせられて本当に嫌でしたが、いざここが閉店してほかのお店が入ることを考えると居ても立っても居られない気持ちになりました。

町中華で親父を超えることはできないと思いましたが、『MANNISH』をここで開くならばできるかもしれないと思い、受け継ぐことにしたんです」(柴田和さん)

昨年12月18日の「麺駒」の閉店から1カ月弱、「塩生姜らー麺専門店 MANNISH 浅草店」は今年1月8日にオープンした。

オープンは奇しくも二度目の緊急事態宣言が発令された翌日になった。「麺駒」の看板はそのままにオープンし、厨房もかつてのままだ。

2021年1月8日にオープンした「塩生姜らー麺専門店 MANNISH 浅草店」。看板も厨房も「麺駒」のまま引き継いでいる(筆者撮影)

この地でやることに意義がある

「親から『継げ』と言われたことはなかったんですが、やっぱり継いでほしかったと思います。コロナで潰れたと言われたくないですからね。この地でやることに意義があるんです」(柴田和さん)

厨房には和さんの息子も立つという。町中華のままではないが「ラーメン店」になって「麺駒」が生まれ変わった。

親のお店を子が別の形態に変えて飲食店を続けるのは極めて珍しい。モデルケースとはいえないが、このような事業承継もありうるのだと個人的にうれしくなった。決して平担な道ではないが、両親からのバトンを受け取った和さんの新たなチャレンジが始まった。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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