大阪王将が武蔵野の「町中華の屋号と味」継いだ訳

後継者問題で廃れる中、地域の名店残す新たな手

東京都武蔵野市緑町にオープンした「大阪王将 武蔵野緑町栄楽店」(写真:イートアンドホールディングス)
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8月22日、東京都武蔵野市緑町に「大阪王将 武蔵野緑町栄楽店」がオープンした。

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大阪王将は大阪市淀川区に本店を置くイートアンドホールディングス傘下の株式会社大阪王将が運営する中華料理チェーンだ。全国に400店以上を構えるほか、大阪王将のブランドを冠する「羽根つき餃子」などの冷凍食品でも知られる存在だ。

ただ、栄楽店は通常、街で見かける大阪王将の雰囲気とは一線を画している。単なる新店舗ではない。

大阪王将が町中華の名店の味を受け継ぐ

店名に冠した「栄楽」は、1958年にこの地で開業して以来、世代を超えて地域の人々愛されてきた中華料理店の名前だ。緑町はJR三鷹駅や西武新宿線の東伏見駅などが最寄りで、東京都心部から車で約1時間のベッドタウン。かつて周辺に中島飛行機の工場や米軍宿舎、野球場などがあり、昭和の時代には大きなにぎわいを見せた歴史のある町である。「栄楽」は今年5月末、古希を迎えたオーナーが引退を決意し、惜しまれつつ63年間の歴史に幕を閉じたのだという。

大阪王将はこの地に出店が決まり、通常の形でオープンする予定だったが、「栄楽」の存在を知り、その思いと歴史を受け継ぐことにした。

「出店前、この地で営業されていた『栄楽』様が、惜しまれつつ閉店されたことを知りました。『栄楽』のオーナー様と直接お話をする中で、『栄楽』の味やこの街との絆をこれからも守り続けたいと考えました。オーナー様のご厚意もあり、店づくりにおいてさまざまなご協力をいただき、出店が実現しました」。大阪王将の担当者はこう話す。

こうして「栄楽」のオーナーの協力のもと、店舗やメニューをはじめ、「栄楽」ののれんを承継する店舗としてスタートすることになった。

同店の看板商品は、「栄楽」の創業の味がテーマ。名物だったカツカレーやしょうが焼き、塩焼きそばなども「栄楽」のレシピをもとに再現している。

現在の大阪王将栄楽店の生姜焼きセット(左)とカツカレーセット(写真:イートアンドホールディングス)

「今まで『栄楽』が好きでご利用いただいていたお客様をがっかりさせないこと、そして、よりご満足いただけるお店となることを目指しています。名物のカツカレーなどは、『大阪王将』にはもともとないメニューのため、『栄楽』のオーナー様に教わりながら、レシピを練り上げました」(同担当者)

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