いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる

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昨春の「マスク危機」以降、世界各国でさまざまなマスクが作られ、売られるようになっている(写真:Go Nakamura/The New York Times)

現在、10万以上の種類のフェイスマスクが売られている。絹製のもの、綿製のもの、合成繊維のものがあり、フィルター付きのものとないものがある。またオーバーヘッドバンド式のものと耳に掛けるものがある。キラキラがついたもの、ひまわり柄のもの、友好的なあいさつや侮辱する言葉がついたもの、漫画のキャラクター柄がついたものがある。

こうしたマスクに欠けているのが、どの程度感染粒子を防ぐことができるかを示す表示であり、この欠如はコロナ禍にあって公衆衛生当局者をいらだたせている。専門家の多くは、デザインによってその効果に大きな幅があると指摘しており、中にはほとんど粒子を除去しないものもあるとしている。

安全なマスクを身につけているかわからない

「もっとも根本的で、基本的な疑問はどれが最も安全なマスクなのか、そうしたマスクを自分や、自分の家族、子どもたちが持っているか、ということだ」と、昨年8月にアメリカ・メリーランド州の副書記官としての職を辞したフラン・フィリップス氏は語る。「われわれがいまだにそうした情報を持っていないというのは驚くべきことだ」。

それももうすぐ変わるかもしれない。疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている。というのも、マスクやフェイスカバーの市場は巨大化していると同時に混乱しているからだ。

CDCの一部門であり、「NIOSH」として知られる国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル(かつてのアメリカ材料試験協会)とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想されている。

「基準を設けることによって、出回っているマスク製品を評価する首尾一貫した見方を得ることができ、どの程度の予防効果を期待できるのか知ることができる」と、NIOSHの国立個人用保護具技術研究所の所長マリアン・ダレッサンドロ氏は話す。

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