いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる
こうした品不足分を補うためにFDAは昨春、KN95の販売を認可した。アメリカのN95に相当する中国産のものだ。しかしFDAはただちに不正かつ偽造の製品を見つけ、許容できるKN95の輸入範囲を狭くした。それでもいまだに不正品が横行しており、無数の会社がFDAの基準に満たないマスクに「KN95」の表示をつけている。
予防の観点でN95より一段劣るものが、FDAが認可した外科手術用マスクであり、特定の基準を満たさなければならない。外科手術用マスクもまた、多くの企業によってコピーされ、予防レベルが同等ではない模造品が出回るようになった。
そしてもちろん荒ぶる西部のスタイルがある。あらゆる使用可能な生地から作り上げた何百万とあるマスクのことだ。中にはバンダナやゲートルといったものもある。バンダナとゲートルは首の周りに巻き付けた生地をループ状にして1つにつなげたもので、伸ばして顔の下半分を覆うことができる。
国主導のマスク認可プログラムが必要
まったくマスクをしないよりは、どんなマスクでも付けたほうがいいと公衆衛生の専門家たちは言う。CDCはマスクに関する自らのガイダンスを何度となく改定し、密に編み込まれた多層構造の生地のほうが一層の生地もしくは緩いニットから作られたマスクよりも予防効果が高いとしている。これは装着している人だけでなく、その人が接触する人たちにとってもそうだとしている。
ただし、CDCのウェブサイトはフィルター付きのマスクがフィルターのないマスクよりも予防効果があるかどうかについて明らかにしていないし、合成繊維が綿やそのほかの素材と比較してどうなのかについても明らかにしていない。
「マスクをテストして認定する国主導の機関が必要だし、一般の人々にマスクの使い方や手入れ方法などを伝える必要性もある」と、バージニア工科大学で土木環境工学の教授を務めるリンゼイ・マー氏は語る。同氏は空気中の浮遊ウイルスに関する専門家でもある。
アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした。最低の基準は20%で、最高は50%だ。
一見低いように見えるが、予防効果は低くない。ろ過効率とは0.3ミクロン大の粒子をろ過する場合の製品効率に基づく。0.3ミクロンは一般に最も貫通力のある粒子としてNIOSHのテストで基準とされている。