いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる

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パンデミックが始まって以来、マスクやフェイスカバーに対するアメリカ政府の監督はほとんどなされてこなかった。食品医薬品局(FDA)とCDCそれぞれが産業を監督する権限を持っている。入手可能なうち最も予防力のあるN95マスクについてはFDAとNIOSHがそれぞれ監督権限を持っているが、多くのアメリカ人が身につけている布切れのようなマスクはいかなる規制当局も監督権限を持っていない。

昨年4月、FDAが緊急措置を公表したときはちょうど医療施設が防護服などを確保しようと躍起になっており、マスクの売り上げも急激に伸びた。この時の発表を見ると、マスクを販売する会社に対してFDAが規制等を講じることはない、と部分的には読み取れる。

「マスクの効果は0%〜80%」

一方、FDAは同時にこうしたマスクは「液体防御性やろ過効率の基準を満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」とも述べていた。もっともこうした警告が市場を弱めることはなく、多くの効果が鈍い製品が売られているのはFDAの責任だと非難する専門家もいる。

「FDAには状況改善に向けてできることがたくさんあった。とくにどのマスクが有効で、どのマスクがそうでないのか、という研究が世に知れ始めた頃だったのだから」と、非営利の健康政策団体である国立健康研究センターの所長ダイアナ・ズッカーマン氏は話す。

「FDAはマスクをぴったり着用すること、少なくとも二層の布でできており、伸縮性の素材で作られていないことといったガイドラインを発表することだってできたはずだ。かわりに会社間の自由競争になってしまった」

マスクの効果は「素材の構成、層の数、層の接着の仕方によって0%から80%」の幅が生じることがある、と防護装備コンサルティングサービスの会長デール・フリーム氏は語る。同氏はまた、マスクのガイドライン作成に関わる基準策定作業部会のメンバーでもある。

マスクの絶対的な基準はN95である。このマスクはぴったり肌に密着し、とても小さな粒子でも少なくとも95%を除去することができる。だがN95マスクは一般的に医療従事者に用意されたものであり、感染爆発が起こって以来品薄になっている。一部の病院はN95を確保するために、闇市場で手に入れようとしていた。

N95マスクは一時、医療機関でさえ確保に苦慮するほど超品薄状態に(Eve Edelheit/The New York Times)
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