バイデン政権にアジア政策転換が求められる訳

米国は新たなリバランシング戦略を追求せよ

バイデン次期政権には信頼される同盟国との協力が不可欠だ(写真:ロイター/Mike Segar)
コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

バイデン次期政権はアジア重視の方向

アメリカのバイデン次期政権は同盟重視とともにアジア重視を打ち出すことになりそうである。バイデンは、「アメリカはれっきとした太平洋国家であり続けてきたし、いまもそうだし、これからもそれは変わらない」と述べている。アメリカはアジア太平洋におけるプレゼンスを今後とも維持する、そして西太平洋を拠点とする前方展開と戦力投射の能力を弱めることはないとの意思表示である。

この連載一覧はこちら

また、次期政権で国務長官就任が予定されているトニー・ブリンケンは「バイデン大統領は、ASEANの会合にはちゃんと顔を出す」と発言している。トランプ大統領がASEANを中核とする東アジアサミットに任期中、一度も出席しなかったことを念頭に置いての発言と受け止められている。

政権移行チームの中には、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)にアジア担当統括官(ツァー)を置くべきだとの構想があるとの報道もある。アジアを中国、インド、日本をはじめとする同盟国・友好国の3つの部門に分け、その全体を統括する戦略司令塔が必要との認識のようである。

トランプ政権の4年間、アメリカはアジア太平洋の新たな地域アーキテクチャー構築の歩みから取り残された。政権発足直後、この地域の12カ国の多角的な自由貿易推進の枠組みであるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から一方的に撤退することを宣言した。政権末期、日中韓を含むアジア15カ国によるRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の締結をアメリカは指をくわえて見守るしかなかった。アメリカ抜きのアジアだけの地域的連携が中国主導で進むのではないか、と懸念する声もワシントンでは聞かれる。

次ページアジアはアメリカを待つことはない
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 山本シンヤが迫るクルマ開発者の本音
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • CSR企業総覧
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ソニーとパナソニック、10年で大差ついた稼ぎ方
ソニーとパナソニック、10年で大差ついた稼ぎ方
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
15種類の「書き方」を徹底解説<br>無敵の文章術

ビジネスパーソンを中心に文章力の必要性が高まっています。在宅勤務における情報伝達手段として、メールやチャットは不可欠に。また精度の高い企画書はビジネスの成功に直結します。本特集ではシーンや目的別に、短期間でのスキル向上を目指します。

東洋経済education×ICT